内容説明
男子高校生の浅田ユヅキがある日目覚めると、女の子の人形の姿になっていた！
人形の名はセブンス。
一流の魔法使いであり人形師である朝霧キョウコが作り出した、世界最高クラスのスペックをもつレンタルサービス型の美少女オートマタである……らしい。
その役割は、依頼者との会話、家事、警備、さらに性行為にまで及ぶ。
セブンスになってしまったユヅキは、さまざまな男性の性処理のためにレンタルされ、心をすり減らす日々を過ごす。
やがて一ヵ月以上が過ぎ、精神的に限界を迎えつつあったとき、セブンスは女性の依頼者である高校生の少女イチコに出会う。
そして、二人は次第に惹かれ合い……!?
第８回講談社ラノベ文庫新人賞《大賞》受賞作！
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わゆ
17
第8回講談社ラノベ文庫新人賞「大賞」受賞作品。高校生男子が目を覚ましたら、電気の代わりに魔術が発展した日本で、オートマタ<人形>の女の子だった。そんな主人公が仕事の中で出会った女の子に恋していくお話。最初は読者側も何が起こったのか分からず、SF世界観やオートマタの仕事に驚かされ、中盤からは主人公とヒロインの恋物語に胸を焦がされる。終盤に掛けてはかなり大きな「転」が待っており、この物語全体に仕掛けられた伏線とどんでん返しに、驚きと感動の涙が止まらなかった。構成に無駄がなく、素晴らしいかったと胸を張れる1冊。2021/10/22
かっぱ
17
目が覚めると美少女オートマタになっていた少年と学校でイジメに遭っていたことにより不登校になった少女の物語。TS、異世界転生、SFもう色んな要素がてんこ盛りなのにしっかりとした純愛物として一冊にまとめあがっていてため息を吐いた。一概に"百合"と表現していいかは難しい話だけれど、人間と人形という結ばれるべきでない関係性の二人がお互いを拠り所に過ごす日常がただただ愛しい。お互いがお互いを求めて、お互いがお互いに与えて、相手のことを想う感情はいつだって美しい。SF的な仕掛けにもニヤリとできる大賞らしい一作だ2019/12/11
真白優樹
17
一流の魔術師であり人形師の女性に作られたオートマタに憑依した少年が、痛みを抱える少女に出会い始まる物語。―――その距離越えて踏み出して、君の元へと真っ直ぐに。その恋の真実が明かされ全てが覆る時、貴方はきっと騙される。異端であり王道、交わらずして並び立つ。切なくて甘くて、只々尊い。そんなレベルの高い物語であり、受賞したのも納得のまるで心が浄化されるかのような多くの読者様に是非読んでもらいたい物語である。１０１メートル踏み越えた二人を荒波が待っていても、きっと二人なら大丈夫。 うん、とても面白かった。2019/12/01
nawade
16
★★★★☆ 第8回講談社ラノベ文庫新人賞《大賞》受賞作。これはチャレンジングな作風。ある意味、ラノベのタブーを破りつつも、それを逆手にとって強みとしている。異世界＋ＴＳ＋人外、設定としてはラブコメよりなのだが、割とハードな境遇を嘆きつつも鬱っぽくならない程度にバランスよく描写してラブストーリーに落とし込んでいる。女性とＴＳ、人間と人形、そしてもう１つ、３つの障害を抱え、報われない愛に悩む１つの人格の姿に惹き込まれた。 あらすじは読まない方が、より楽しめると思う。2019/11/28
椎名
14
問題作ですねこれは。百合、SF、TS、どこをとっても間違いがなく、どう言っても嘘になる気がする。百合過激派が騙されたと騒ぐこともわかるし、きちんと百合×SFだったと納得するのもわかる。TSではないのだが、TSであったことも間違いがない。非常に難しい、読者を選ぶ作品であることは確かだが、大賞に相応しい面白さだった。噛み合わないような、どこか雑多だった要素がうまく嵌まって畳み掛けられたのは本当に気持ちよかった。次回作も期待。2019/12/22
