文春新書<br> 総会屋とバブル

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文春新書
総会屋とバブル

  • 著者名:尾島正洋【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 文藝春秋(2019/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784166612413

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内容説明

かつて「総会屋」と呼ばれる男たちがいた――。

彼らは闇社会の住人でありながら、上場企業の株主総会に株主として出席し、経営陣を震え上がらせた。壇上の経営陣にイチャモンまがいの質問を突きつけて締め上げる「野党総会屋」がいれば、怒号のようなヤジをとばして彼らの質問を妨げる「与党総会屋」もいた。企業側が、彼らに利益供与をすることと引き換えに、株主総会の円滑な進行を望むことは自然な流れでもあった。

21世紀となった現在では信じられないが、名だたる超一流企業が株式市場のハイエナたちに喰い付かれていた。キリンビール、伊勢丹、イトーヨーカドー、味の素……。
「企業をまわって集金すれば、月に3000万円。最盛期は年収が3億円をゆうに超えていた」と、日本最大の総会屋「論談同友会」の元幹部は言う。

バブル経済に踊っていた金融業界にいたっては、総会屋に喰らい尽くされていたと言ってよい。ガリバーの野村證券は総会屋を優遇し、損失補填を行っていた。第一勧業銀行は歴代トップが大物総会屋との関係を続け、違法に融資された額は300億円にものぼるという常軌を逸した沙汰だった。

なぜ一流企業の経営陣は、闇社会の“呪縛”に絡み取られてしまったのか? 論談同友会の元幹部らの証言をもとにバブルの裏面史を描き出す。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kuma

22
経済事件を総会屋の観点から、企業、経営者の立ち位置を見る、個別の総会屋は知っていたが、改めてまとめて振り返るとスタンス時代が見えてくる。2021/02/19

魚京童!

19
質問に答えられないのが問題ではないんだ。つつがなく進行するのであれば、なんにも意味がないよね。結局、何が大事なのかを見失っている。私が良ければそれでいいのだ。個体を優先する。社会で生きているのに、社会に参加しない。その結果、みんなでアイヒマンになる。アイヒマン万歳!そこだよね。当然のように社会参加ってハンナは言ってるけど、みんなが参加するわけではないし、そこまで頭が回っていないヒトが多い。民主主義だからね。声が大きいものが勝つ。正しいものは考えなきゃいけないからね。難しいよね。2022/07/11

スプリント

11
総会屋という存在はすでに過去のものとなりましたが、企業の裏の顔を知り暗躍した時代の証としてとても興味深い内容でした。2020/05/09

CTC

11
11月の文春新書新刊。著者は本年3月まで産経新聞記者だった。もっとも著者は66年生まれだから、題材についてはタイムリーにというより、記者として脂が乗ってから多くの(元)総会屋を取材したというわけだろう。「彼ら(総会屋の意)の目を通してバブルが崩壊していくさまを裏側からとらえなおすことができるのではないか」というのがこの本の狙いとなるが、浮き彫りになるのは無責任な経営者の姿勢。どんな企業でも色々あるだろうけれど…まぁ今じゃ通用しない。逆に申せば世の中少しは進歩してるかな。2019/12/09

GOTI

7
☆☆☆★ルポルタージュです。事実は小説よりも何とやら。闇社会の住人である「総会屋の歴史を振り返ることで、バブル経済のピークから崩壊までを描」いています。総会屋のスポンサーになっていたのは野村證券を初めとする四大証券、第一勧銀、三菱地所、キリンビール、三菱自動車、大丸、松坂屋、イトーヨーカ堂、住友海上等々日本を代表する超一流企業でした。各企業がスキャンダルの発覚を恐れ、株主総会を穏便に終えるよう総会屋を雇い見返りに資金を流すいろんな手口を克明に記しています。黒歴史ここにあり。2020/01/05

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