7つの階級―英国階級調査報告

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7つの階級―英国階級調査報告

  • ISBN:9784492223857

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内容説明

BBCが行ったイギリスの階級調査を複数の社会学者が分析した書。
従来の階級研究は、上流階級、中流階級、労働者階級の3つに分け、中流と労働者の間を明確に線引きすることが重視されてきたが、現代はそれほど単純ではない。
他から隔絶した最上層のエリートと、何も持たない最下層のプレカリアート(不安定な無産階級)という両極の間に、単純明快に分けることができない幅広い中流層が存在するという。著者らはこの中流を、経済資本(所得・貯蓄・住宅資産)・文化資本(学歴・趣味・教養)・社会関係資本(人脈)をどのようなバランスでどのくらい所有しているのかに着目して5つに分類し、7階級の存在を明らかにした。
1.エリート(elite)
2.確立した中流階級(established middle class) 
3.技術系中流階級(technical middle class)
4.新富裕労働者(new affluent workers) 
5.伝統的労働者階級(traditional working class) 
6.新興サービス労働者(emerging service workers)
7.プレカリアート(precariat)

エリートを自覚しているくせに、自分は「普通」だと強調する現代的なエリートの姿、あからさまにはスノッブな態度はとらないが、自分の審美眼や知識をひけらかしたい豊富な文化資本の所有者など、英国階級調査参加者の偏りを補正するために行った追加的なインタビュー調査からは、現代のイギリスを生きる人々の生の声が知られ、非常に興味深い。

本書はイギリス特有の現象や慣例、考え方により叙述されるが、社会の上下両端の格差が著しいという状況は各国共通の現象であり、3つの資本が重なり合って格差が広がる実情は、私たち日本の現状にも当てはまる!

目次

序論 英国階級調査に見る現代の階級
第1部 社会階級のヒストリー
第1章 階級の境界線はどこか――中流階級と労働者階級の違い
第2部 資本の蓄積と社会階級
第2章 社会階級と経済資本
第3章 高尚な文化資本と新興文化資本
第4章 社会関係資本――ネットワークとつながり
第5章 新しい階級社会――資本の相互作用
第3部 社会流動性
第6章 人生の山を登る――社会流動性の探求
第7章 大学間の格差――高等教育と能力主義
第8章 階級と地域格差
第4部 21世紀イギリスの階級格差
第9章 頂上からの眺め――こんにちのエリート
第10章 もがき苦しむプレカリアート――見えない人々
第11章 階級意識と新しいスノビズム
結論 21世紀の階級の政治
付録 英国階級調査について
謝辞
用語一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネクロス

15
読了。興味はあるが基礎知識が豊富な分野とは言いがたかったのでメッチャ読むのに時間かかった。 階級について触れること自体がスノッブな態度と見られるが、その実全ての階級が階級を意識していると言う面についても触れており、非常に示唆に富んでいる。 日本国内にも適用可能か?と言う点については行けるだろうと思う肯定派。2020/07/28

kenitirokikuti

10
図書館にて、ざっと流し読み。アッパー、ミドル、ローアーという階級分けは職業とほぼイコールで、モンティ・パイソンがコントにしてた頃までは合っていた。三、四十年が過ぎ、さすがに肉体労働者の支持政党は労>保であるけれども、上流の労:保は1:5から4:5になった▲かつての趣味享受は高尚・低俗で層が分かれていた。現在は自宅で・外で、および、新興・高尚で分かれる。後者をラフに言うと、若者と中高年である。中高年は通ぶる。2021/10/24

g_eiru

5
イギリスの社会における階層について。 かなり詳しく論じているので、イギリスの具体的な細かい地名がかなり登場する。日本人である僕にとっては正直どうでもいいので、そういう部分は流し読みになってしまった。 全体としては、従来の中間階級vs労働者階級といった価値観はもう古い、中間層は流動的になっていおり、更に最上位層と最下位層には激しい差がある、というのが筆者の主張 まあまあ面白かったけど、別にイギリスを具体例として説明してもらうメリットは無かったかも こういう具体的な話を聞く前に資本論を腹据えて読むべきか?2020/04/02

人生ゴルディアス

5
イギリスで行われた最近の階級調査についての分析。語彙があるとその言葉に影響され続ける社会の宿命みたいなものがずっと書かれている。階級について話題にするのは不道徳だけれど実は……みたいな。日本だとそこまで階級を表現する言葉に現実味がなく、せいぜい上級国民とDQN(これも古いけど)くらい。格差が無いというのはほとんど嘘で、どちらかと言うと本書で語られるような文化資本の格差と階級を表す語彙の少なさがある種の平等さを演出していたのではなかろうか。能力主義が実は特権の排除に貢献していない、等の分析にハッとさせられる2019/12/14

dulce_zakka

3
プレカリアートな私。2020/10/06

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