内容説明
イタリアのクレモナに住む名ヴァイオリン職人のジャンニは、国際ヴァイオリン製作学校の講師でもある。20年前の教え子であるノルウェー人のリカルドが学校で講演を行い、その夜に殺害されてしまう。そして彼が持っていた、ヴァイオリンに似た楽器ハルダンゲル・フィドルが消えていた。犯人はなぜ、さしたる値打ちもない楽器を奪ったのか? ジャンニは捜査を進める友人の刑事グァスタフェステと恋人のマルゲリータとともに、リカルドの葬儀に参列するためノルウェーへ旅立つ。だが新たな殺人事件が……。人気シリーズの日本オリジナル最新作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
392
ヴァイオリン職人のシリーズ第3弾。2作で終わるはずだったのを、なんと日本の読者に向けての書き下ろしであるそうな。さて、今作はいささか趣向を変えて物語の主たる舞台はベルゲン(ノルウェー)である。6月とはいえ、冷たい雨がそぼ降る街。クレモナとは大いにムードを異にする。ヴァイオリンもまたハルダンゲル・フィドルというノルウェーの民族楽器。一方、登場人物群はお馴染みのジャンニやアントニオたち。今回も面白いのだが、残念ながら前2作には及ばない。ヴァイオリン講義もそうだが、犯行の動機などもいささか無理があり過ぎるか。2021/09/22
こーた
182
シリーズ三作目、いまのところ最新作の舞台は北欧ノルウェー。中盤、あまりに話が進まず、読むペースも上がらなかったが、その決して不快でない退屈さには、いっしょに旅をしているみたいな心地よさがあり、彼の国の空気を文体で顕しているのでは、と勘繰りたくなる。そんな一見変哲の無い風景描写に、重大なヒントが紛れ込んでいるのだから、微睡んでいる場合ではないのだが。戯曲『ペール・ギュント』と演奏家オーレ・ブルの生涯が、作中人物たちと幾重にもかさなるようすは、共鳴するハルダンゲル・フィドルの調べとも響き合って美しく哀しい。2023/09/09
ケイ
147
今作は、ヴァイオリンについての歴史や演奏についての蘊蓄はあまりなく、その分、彼らが捜査にいったノルウェー観光案内のような趣がつよい。謎解きについても、最初から何となく動機がぼんやりと見えてくる分、驚きはないのだけれど、ノルウェーでの受難、食べ物と寒さについての受難が読んでいて楽しい。イギリス人の作者が、主人公のイタリア人ジャンニ達がノルウェーで体験する気持ちが、これまた第三国の立場の日本人からも理解しやすいのではないかしら。値段にびっくりで食べたいものがないのにも…よく分かる(^^)2020/08/15
NAO
84
クレモナのヴァイオリン職人ジャンニを主人公としたシリーズ3作目は、シリーズの熱心な支持者である日本の読者のリクエストにこたえ、日本むけに特別に書き下ろされたもの。20年ぶりにクレモナに来たジャンニの教え子であるノルウェーのヴァイオリン職人リカルドが殺害され、ジャンニと友人の刑事はノルウェーに向かう。複雑な背景があるようで実はそうではないパターンだが、犯人以外の楽器への執着が今一つ伝わってこない。ノルウェーの厳しい気候と風土、ノルウェー生まれの作曲家グリーグと演奏家オーレ・ブルの紹介に終始したという感じ。2020/03/01
goro@the_booby
82
シリーズ3作目も謎解きよりはジャンニとアントニオと今回はマルゲリータも一緒に捜査に赴く北欧ノルウェーの旅が印象的。見たことも聞いたことも無い楽器ハルダンゲル・フィドルを追って事件とともに作曲家・ヴァイオリニストのオーレ・ブルの人生を教えてもらった。ジャンニのように素敵に歳を重ねてみたいが俺のは薄っぺらそうだなぁ~。詳しくは書けないけど262頁のジャンニの想いに強く頷いてしまうのだ。ミステリーそっちのけでもいいから4作目出ないかな~。創元社さんよろしくお願いいたします。2019/11/25
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