- ホーム
- > 電子書籍
- > ビジネス・経営・経済
内容説明
●本質シリーズの最終巻
圧倒的に不利な条件から勝利を導き出した独ソ戦のスターリン、英独戦のチャーチル、ベトナム戦争のホー・チ・ミン、対イラク戦圧勝もつかの間、非正規戦という泥沼の打破を迫られた米国――。
本書は、日本陸軍の敗北のメカニズムを組織論の切り口から解明した『失敗の本質』(中公文庫)、海外の戦史を題材に成功の本質を解明した『戦略の本質』、国家指導者に焦点を当てた『国家経営の本質』につづく本質シリーズの最終巻。勝利を実現するメカニズムの解明は、『失敗の本質』とは裏表の関係となります。また『戦略の本質』は逆転を生み出した要因を現場の指揮官レベルで解明しましたが、本書は国家の指導者レベルとリンクさせて、機動戦と消耗戦を臨機応変に使い分ける知略戦略こそが勝利を生み出したというストーリーで解説します。
知略戦略とは、「知略=知的機動力」で賢く戦う哲学であり、過去-現在-未来の時間軸で、組織メンバーの共感を得、一丸とさせる共通善のために「何を守り、何を変革するか」の動的平衡を追い求めながら、行動し続ける戦い方を指す。これを実現できたリーダーが、本書で取り上げる、スターリン、チャーチル、ホー・チ・ミンです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kiyoshi Utsugi
37
第二次世界大戦におけるソ連の対独戦、イギリスの対独戦、北ベトナムの第一次インドシナ戦争とベトナム戦争、アメリカのイラク戦争および対反乱作戦の四つの戦争をケースとして、四人の著者が解析し、これらに共通するものをまとめあげています。 本書における知略の定義は、戦略現象を二項動態的に把握した上で、情況と文脈に応じて具体的戦略を実践していくこととしています。例えば、攻撃と防御を二項対立的に捉える(固定的に対比で捉える)のではなく、動的に相互補完の関係にあるとして使い分けるということのようです。 面白かったですね。2023/01/19
さきん
29
読みごたえのあるところは最後の100ページくらい。その他は、他の戦史で読める内容。攻める側は短時間で戦争を終わらせたいが、攻められる側は負けたくないし、相手へ大きな損害を与えるための努力を惜しまない。そこへチームワークを発揮させるためには、そのチームたらしめている理屈を生かさないといけない。ソ連やベトナムは、共産主義というよりも民族なところを希求して上手くいった感あり。2019/12/31
Tenouji
17
知略とは、情況に合わせて、共感できる物語を紡ぐこと。そう考えれば、私自身が望んでいるのは、大きな物語に乗っかるのではなく、決して屈することがない小さな物語を信じ切りたいw。そういう意味でも、ベトナムや中国の機動戦の考え方に興味がわく。2020/01/16
センケイ (線形)
12
歴史に名を刻んだ諸戦をじっくりと知ることが出来る。もちろん、失敗の本質に見たような率直な分析も健在。持ち札の動的な切り替えや、暗黙知の共有、効果的な観察の仕方、さらには物語としての目標共有など、日常の実践にも通じる観点が目白押しだ。しみじみと感じられる人の動きのみならず、こうした学びに満ち溢れた歴史の諸局面を、知らない手はない。2020/09/22
Hiroo Shimoda
12
「過去の成功体験への過剰適応」はアフターコロナが意識される今こそ注意すべき論点。ビジネスの世界でも思い当たることが度々ある。これは過剰適応ではないか?は必須の問いかけになるべきだろう。2020/07/11