文春文庫<br> だから荒野

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文春文庫
だから荒野

  • 著者名:桐野夏生【著】
  • 価格 ¥850(本体¥773)
  • 文藝春秋(2019/11発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167907242

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内容説明

“家族”という荒野を生きる――。そこにある、孤独と希望。
新聞連載時、大反響を呼んだ話題作。

こんなにいとも簡単に夫と息子を捨てられるとは。

会社員の夫と、大学生と高校生の息子たちとともに東京の郊外で暮らす主婦・朋美。
日々家庭を支えてきた苦労を理解しようともせず、夫はその場しのぎの言葉ばかり、息子たちは「キモいおばさん」扱い。
46歳の誕生日、朋美はついに反乱をおこす。自分を軽んじる、身勝手でわがままな家族たちとの決別。レストランの席を立って、夫の愛車で高速道路をひた走る――。家出した妻より、車とゴルフバックが気になる夫をよそに、朋美はかつてない解放感を味わうが……。

解説・速水健朗

※この電子書籍は2013年10月に毎日新聞社より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケンイチミズバ

140
長く家族をしていればいろんなことがある。積もりに積もったものが我慢の限界を超えて家族をディズニーランドに置き去りにして帰った私の同期も今は会社役員だし。桐野さんの安定したうまさ、とても面白かった。長崎に到着してから物語の性質が少し変わって不安になりだしたもののラストも良かった。我が身も振り替えったし、黙ってるのが一番よくないな。喧嘩しても意見が食い違おうとも会話はしなくちゃダメだ。そう思った。たぶんコンドームがぎっしり詰まったポーチの強烈なくだりと、山岡先生の妹が亡くなった時の話はずっと忘れないと思う。2017/05/16

エドワード

115
47歳の誕生日、森村朋美はあまりに冷淡な夫と息子に愛想をつかし、車に乗って家を出る。鈴木京香主演でTVドラマ化され、先の読めない展開が毎週待ち遠しかった。冒頭の誕生日の場面、家族のえげつなさがほとんど暴力だ。朋美の道中も面白いが、男三人のドタバタが苦笑の連続。「あんたが無神経なんだよ」「父親に向かってあんたとはなんだ!」次々と憂き目に会う夫、異星人のような息子たち、誰にも起き得る、家族という荒野。だが長崎で原爆の語り部老人と過ごす朋美にも決して沃野は訪れない。一年後の彼らの姿は果たして如何に。2016/11/14

アッシュ姉

107
ヒリヒリしたくてタイトルから本書をチョイス。ごうごうと吹き荒れる寒々しい情景を思い浮かべていたが、またしても予想が外れてマイルド桐野さん。からっとあっさり。シチュエーションが面白くてワクワク。夫と大学生と高校生の息子がいる専業主婦がブチ切れて家出。日頃から自分を軽視する家族を捨てて、一人車でひた走る。悲壮感に駆られそうな状況なのに爽快感を感じる。家族全員身勝手だけど、お互い様だからか個々には憎めない。後先考えずに衝動的な行動を取れるのは恵まれた環境があってこそだと思う。2017/10/25

machi☺︎︎゛

104
専業主婦の朋美は46歳の誕生日に自分の事をバカにして家政婦扱いする家族と別れ、自分の人生を歩む事に決める。とりあえず夫の車で当てもなく走り続ける。だけどあまりにも世間を知らなすぎる朋美に次から次へと襲いかかる災難。ようやく落ち着ける場所を見つけるも、果たしてこれがしたかった事なのか疑問に思う。一方、残された夫と息子たちも母親が急にいなくなり色々と変化が訪れる。桐野夏生さんは好きだからスラスラ読めたけど誰1人として共感はできなかった。2023/07/18

ゴンゾウ@新潮部

104
久しぶりの桐野夏生さん。ミステリーだと思い手にとったがさにあらずだった。熟年夫婦の家族の物語だった。同年代の自分にとって身につまされるエピソードが満載だった。浩光も浩光だが朋美も朋美だと思った。夫婦生活はひとつ間違えると荒野になってしまうということか。2017/06/02

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