中公新書<br> 折口信夫 日本の保守主義者

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中公新書
折口信夫 日本の保守主義者

  • 著者名:植村和秀【著】
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 中央公論新社(2019/11発売)
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  • ISBN:9784121024589

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内容説明

民俗学者、国文学者にして釈迢空の号で知られる歌人、そして小説家でもある折口信夫。多方面にわたる業績は「折口学」と総称されるが、全貌をひととおり眺めるのは容易ではない。本書ではその生涯をたどり、関東大震災、二・二六事件、敗戦から占領へという日本崩壊への危機感がこの稀有な思想家を生み出したことを示す。さらに、折口の思想をナショナリズムとの関係性から読み解き、真の保守主義とは何かを問う。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

59
折口の思想を、社会の状況の中で捉えなおした一冊。ただ全体的に折口の文の引用は少なくそれも歌と断片だけなので、本書の著者の主観に偏りがちなような気がする。論じられているのは関東大震災、2・26及び終戦。あと文学と民俗学に対するスタンスが描かれている。本書で描かれている折口像はロマンチストのよう。戦争に対する考え方も前近代的であるし、終戦後の立ち位置も形而上学的。逆に折口の非政治性を露わにしているように思える。あとやはり自分にとって折口論文は文学なんだよなあ。古代研究のいくつかの冒頭、身震いするほど好きだし。2017/12/19

かごむし

31
折口信夫の膨大な著作の中から、彼が言いたかったことを探り出していく本。読み終わって思うのが、僕は、折口の思想に共鳴するようなところはおそらく何もないような気がする。だから、彼の作品を仮に読んだとして、心に響くものがあるかどうか。しかし、あの激動の昭和初期を生きてきた人間が、政治的なものよりも根本に、生活の中に日本人らしいうるおいを復活させ、そこから変革を起こしていくのだという信念には、理解できたし、納得もした。まだ評価が定まらない人らしい。思想的に対極にいそうな人を追うという、非常に有意義な読書であった。2019/05/04

無重力蜜柑

13
歌人、民俗学者、国文学者。折口信夫という多面的な顔を持つ巨人を「日本の保守主義者」と捉え、その総体的な思想を説き起こす。ここでいう保守主義とは、「冷たい」近代的理性や国家的政治性よりも「血の通った」伝統的感情や共同体的社会性を信頼し、過去から未来を創造していこうという立場のことである。一言でいうならバーク的保守主義であるが、それを折口信夫というどこまでも「日本的」な思想家の中に見出すのが面白い。日本と縁もゆかりもない外国文献を持ち出してふんぞり返っている、英米贔屓の自称保守主義者には見習ってほしいものだ。2025/07/31

軍縮地球市民shinshin

11
折口信夫論。著者の専門は政治思想史なので、その視点からのアプローチである。2.26事件を起こした軍人が、昭和天皇のお言葉を摘まみ食いして勝手に神格化していると折口は捉えていたらしい。三嶋由紀夫が激怒しそうな思想だ。だが、僕は折口の方を支持したい。2018/10/23

さとうしん

11
関東大震災、二・二六事件、太平洋戦争と敗戦といった時代背景から折口信夫の学問・文学遍歴を読み取る。関東大震災時の朝鮮人狩りから日本人の心のすさみを見てとる折口のあり方は、当世の「保守」とはかなり様相を異にしているように思う。本書は折口をナイーブな理想主義者として描いているが、そうした描き方がどの程度妥当なのかやや不安も。「おわりに」の「全集読書案内」は試みとして面白い。他の学者を対象に応用してみたい。2018/01/15

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