内容説明
著作活動六〇年、生涯に刊行した一〇一冊の自著に寄せた序跋文と解説を年代順に初集成。全業績を一望のもとにおさめるオリジナル自著解題集。第Ⅰ巻には『最新産業組合通解』(明治三五年)から『居住習俗語彙』(昭和一四年)までを収録する。全二巻。
〈解説〉「柳田國男による柳田國男」佐藤健二
感想・レビュー
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roughfractus02
7
101に及ぶ自著の自序を2巻に分けて時系列順(1902-1961)に収録する本書は、確かに「柳田学入門」と称する内容だ。本巻では農政官僚の傍ら著作した「最新産業組合通解」(1902)から民俗学の立ち上げ後戦前に調査した「居住習俗語彙」(1939)までを収録する。政策立案の傍ら書かれた論文調から職を辞した後の本格的調査の中での聞き書きへと文体が転換する時期だが、自序も自らの作品を鳥瞰する視点から、語り手の隣で聴取する耳に従う姿勢へと変わる自らの学の方法を仄めかし、読者の読む身体にもその姿勢を促すかに見える。2025/03/01