内容説明
もし現在の文明が崩壊するとしたら?それも遠い未来ではなく、私たちが生きているあいだに?昨年の世界的な異常気象で注目を浴び、フランスでベストセラーとなった警世の書。自然環境、エネルギー、社会システム、農業、金融…など多くの分野で、現行の枠組が崩壊間際になっている現状をデータとともに提示する驚嘆のレポート!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白玉あずき
44
おおっ いつの間にこんな学際ジャンルが成立していたのか?! 時代遅れの自分発見。「崩壊」の定義から始まって、化石エネルギーに依存する産業文明があらゆる社会システムと地球環境で限界に来ていることを、下手な例え(失礼)でこんこんと説明してくれます。直線的変化ではなく、ティッピングポイントでの非連続的変化がいつ訪れるのかはわからないが、今世紀中だろうことは極めて「確信度が高い」。生態系の破壊、気象への影響は、IPCCの報告書を読んだほうがすっきりかも。概要は環境省HPでタダで読めますしね。本を読まないらしい2020/01/30
よっち
36
崩壊とはどのようなもので、何が引き金となり、結果としてどのような心理的、社会的、政治的な影響を与えるかを「崩壊学」と名づけ、世界中の研究から集めて紹介する一冊。現代は化石エネルギーや金融システム次第でいつ崩壊が始まってもおかしくない世界で、持続可能な開発も非現実的という状況。それに関する様々なテーマで定義や研究を紹介してはいる点は興味深かったですが、本書がそれを列挙している域を出ていなかったのは残念。つまるところすでに崩壊の兆候はあっても抜本的な解決策などなくて、まずは現実を見ろということなんでしょうね。2019/10/21
まると
25
山本義隆さんが近著で引用していた本。地球温暖化やエネルギー、金融、経済などの複合的な危機は、既に科学的限界を超え、崩壊は避けられない。だが、個人は心理学的に生き残るための行動に出ることはないと、全体に悲観的な見方を示している。カエルは沸騰したお湯に飛び込むと跳びあがるが、水の入った鍋に沈めて徐々に熱くしていくと死ぬまでそこにいるという。人類は既に熱湯に浸かっている。私のような中高年層は最早、危機感を共有できないだろう。崩壊を避けることができるのは、未来を生きるグレタさんのような若い行動力なのかもしれない。2021/07/28
ケニオミ
15
世界は崩壊を運命づけられている。それも今世紀中に。誰もが、今日大丈夫だったので、明日も大丈夫だと思っているが、明日のことは分からない。石油に代わる効率的な資源がなく、その石油も枯渇しかけている。国家は借金まみれにもかかわらず、成長神話を信じ、借金に借金を重ねている。環境汚染はひどくなり、食料生産も頭打ちとなる。ちょっとしたきっかけで、もしかすると、明日が崩壊日かもしれない。さて皆さん、ここで聖書の一句をどうぞ。「Eat, drink, and be merry, for tomorrow we die.」2020/01/14
ジュール
10
なんとなく嫌な予感としてわかっていたことを事実として提示されている。複雑に絡まりあい、ますます高度化した現代社会はレジリエンスが失われ、閾値をすでに過ぎ、何かをきっかけに崩壊する。生物多様性の大切さもよくわかった。それとEnergy Return, Energy Investedの概念。シュールガスも救いにはならない。グレタさんの主張に共感。でも生活を変えられるか? 良書だが、文章が読みにくいの難点。2020/01/24