情動はこうしてつくられる - 脳の隠れた働きと構成主義的情動理論

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情動はこうしてつくられる - 脳の隠れた働きと構成主義的情動理論

  • ISBN:9784314011693

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内容説明

従来の理論を刷新し、人間の本性の見方に新たなパラダイムをもたらす!
幸福、悲しみ、怖れ、驚き、怒り、嫌悪――「脳は反応するのではなく、予測する」

心理学のみならず多くの学問分野を揺さぶる、自身の《構成主義的情動理論》を解説するとともに、情動の仕組みを知ることで得られる心身の健康の向上から法制度の見直しまで、実践的なアイデアを提案する。
英語圏で14万部、13か国で刊行の話題の書。

情動は〈理性のコントロールが及ばず自動的に引き起こされる反応〉ではない。
〈幸福の神経回路〉などないし、〈怒りのニューロン〉も特定の部位もない。

情動を経験したり知覚したりするためには〈情動概念〉が必要である。
「怖れ」の概念がなければ、怖れを経験することはできない。
「悲しみ」の概念がなければ、他者の悲しみを知覚することはできない。

なぜ情動は自動的に生じていると感じるのか。
理性はどれだけ情動をコントロールできるか。
イヌは情動を経験しているのか。
情動は病気にどのように影響を及ぼすか。
子どもの「心の知能」はどのように高められるのか。

  *  *  *

各界から絶賛!

「感情とその背後にある脳科学を見渡すフィールドガイドの決定版」
 ――アンジェラ・ダックワース(『やり抜く力 GRIT』著者)

「研究の最前線にきわめて革命的な理論を描き出した」
 ――ロバート・M. サポルスキー(『サルなりに思い出す事など』著者)

「私の理解を180度ひっくり返した」
 ――マルコム・グラッドウェル(『天才!』著者)

その他、ポール・ブルーム(『反共感論』著者)、ジョゼフ・ルドゥー(『シナプスが人格をつくる』著者)、ダニエル・L. シャクター(『なぜ、「あれ」が思い出せなくなるのか』著者)ら大御所たちが賛辞を寄せる注目の著者。

目次

序 2000年来の前提
第1章 情動の指標の探求
第2章 情動は構築される
第3章 普遍的な情動という神話
第4章 感情の源泉
第5章 概念、目的、言葉
第6章 脳はどのように情動を作るのか
第7章 社会的現実としての情動
第8章 人間の本性についての新たな見方
第9章 自己の情動を手なずける
第10章 情動と疾病
第11章 情動と法
第12章 うなるイヌは怒っているのか?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ジョンノレン

49
構造主義的情動理論を採る著者が古典的情動理論との違いを滔々と説明。小学校の頃クラシック音楽を聴いて心が水の中に落としたインクの如く予想し難く様々変化することに何とも不思議な感興を覚えた。またかなり激しい感情の起伏に翻弄されアンガーコントロールの本など読んだりしたが思うに任せなかった。で、しっかり歳を取ってみると音楽や芸術に関わる情動は不変ながら、感情のうち怒り等のネガティブな感情が起きているうちはまともな判断が出来なくなっている時だと自らに警鐘を鳴らす余裕も。その程度の問題意識なので、この本は途中で挫折。2023/02/12

moshi

18
おもしろい本だった!でも難しい本だった(笑)タイトルの通り、「情動とはいかにして作られるのか」について書かれた本。この本によると、「情動」というものは、意外と世の中の人が思っているような作られ方ではないのかもしれない。人は他人や物事からある特定の情動を「感じさせられる」のではなく、もっと主体的に情動を作り出している。感情が心拍数や血圧を変化させるのではなく、その身体的状況に対して「怒り」や「恐れ」を構築する。こういう物事の見方を変えてくれる本は楽しくて好き。2021/10/17

chilly

11
従来の情動理論を刷新する書。著者の提言を一言で表すなら、情動はその人の生まれ育った社会・環境や、身体との関係で作りだされるもの、ということになるのかな。著者は、情動は「客観的に把握できる」「理性でコントロールできずに、引き起こされる反応」「普遍的に備わるもの」とする、本質主義的な見方に警鐘を鳴らす。情動の解像度を高めると(例えばシャーデンフロイデなど、情動に関する概念をたくさん知ることなど)、世界の構築の仕方が変わる。難しかったけど、日々の過ごし方と結びつけられる内容だった。2022/05/09

渡邊利道

11
「情動」は「感情」とは異なり、身体と外界の相互作用を元に構築された知覚(意識)であり、その構築には一回ずつの経験をグループ化する「概念」や、「気分(アフェクト)」、「行動」などが介在している、とする。本質主義を否定して脳の可塑性とか多義的な機能性を重じて情動構築の過程を実験データをもとに細かく記述しているが、それをまとめ上げるのは他の解釈も可能そうではある。もっとも少なくとも素朴な本質主義的な見方は否定されるだろう。前半の理論編がやはり圧倒的のも白く、後半応用編はその意味でぜんぜん検討の余地がある。2020/02/15

Y.Yokota

10
内容はとにかく書名そのものに尽きる。悲しいとか嬉しいとか怒りとか恐れといった情動は、内から溢れ出てくるような原始的なものではなく、それまで経験や環境を踏まえた上で身体的変化から脳が予測して、構築しているものである、とのこと(曖昧な要約です)。構築する情動そのものの概念がないとその情動は構築され得ないので、例えば悲しいという概念がない環境にいればそういう情動は存在しない。悲しいから泣くのではなく、泣いているから悲しいのだと脳が考えるというか…説明が難しいのですが、読んでいる時はウンウン頷いてました。2022/06/14

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