講談社文庫<br> 黒い巨塔 最高裁判所

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講談社文庫
黒い巨塔 最高裁判所

  • 著者名:瀬木比呂志【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 講談社(2019/11発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065169506

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内容説明

いま初めて暴かれる最高裁の闇!
最高裁新任局付判事補・笹原の見た司法の聖域は、裁判官の思想統制のための牢獄(ラーゲリ)だった!

裁判官を左遷し判決の方向を差配する最高裁長官、絶大な権力を振かざす我が物顔の事務総局。司法の中枢最高裁判所内では醜悪な権力抗争が煮えたぎる。「法の支配」とは無縁の上命下服の思想統制に、司法エリートたちは次々と屈服していく。最高裁の中枢を知る元裁判官の城山三郎賞作家が、司法の真実を暴く権力小説。

解説:ノンフィクション作家 清水潔

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

てつのすけ

28
三権の一翼を担う最高裁判所。この組織を舞台としているので、非常に興味を持って読み進めた。後半で、現実的ではない話が繰り広げられなければ、満足感があったと思うが、なぜ、このような内容を含められたのかがわからなかった。2022/08/03

ヤギ郎

13
最高裁判所事務総局を舞台にしたフィクション。裁判官や最高裁、司法行政についての研究を読んだうえで本書を読むと、「このキャラクターはもしかしたら実在のあの長官かな」「この判決が元ネタになっているのかな」など、メタ読みアンテナに引っかかることがある。(もちろん、本書はフィクションであって、実在の人物や事件と関わりはない。)三権分立の一翼を担う「司法」の、その頂点に君臨する最高裁判所は、効率的な司法行政を実現するために、官僚化されている。その時、黒服に法と良心をまとったある判事の行動を見る。2024/01/05

京 遊

11
限りなくノンフィクションに近い最高裁内部のフィクション。著者の意図や主張が書内から滲み出ている(そのため冗長な表現や説明が多く五百頁の大作になっている)。三権分立が崩れるとき-それは国民の益が失われる時である。識見高く法律の素養ある崇高な裁判官に抱くイメージの裏側は醜悪で、各判決にも影響が及ぶ事実がある。「良識派の裁判官たちを苦しめているのは、出世欲ではなく、閉じられた横並び社会における、理由のよくわからない線引きや選別にさらされること」-こんな不安に苛まれる環境が『黒い巨塔』の内部なのは驚愕である。2022/11/05

にしけん

5
最高裁と現場裁判官との関係性等については、それなりにリアルであり、法律実務家らしい硬質な文章でまとめられているが、特に裁判所組織に通暁していない一般読者には詳しすぎて分かりにくいのではと感じた。論理的な文章を書くことに慣れている法律実務家が、無理に文学趣味に走っている印象であり、人物の人間性に関する表現があまりに陳腐に感じた。人間の心のヒダのようなものを伝えようとする筆者の熱意は伝わってくるが、言葉の選択が堅い上に心に響かずに読みにくく、文学者の表現力には遠く及ばないと感じた。2020/02/20

ガブリエル

5
自らも裁判官で、最高裁判所勤務の経歴を持つ作者が描くこのフィクションは、どこまでが現実でどこまでが架空なのかはわからない。だけど、仮にこの小説のように、裁判所が政治に忖度してその判断を下すとき、三権分立は完全に崩壊する。良識あるものは弾かれ、上に追従する者だけが取り立てられていく組織が健全であるわけがない。この小説で捨て身の抵抗をした主人公は、組織の闇の前に何の痕跡も残せず、30年後も変わらぬ「黒い巨塔」だけが残った。この結末に暗澹とする。これが全部フィクションであってほしいと心から願った読後でした。 2019/12/23

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