内容説明
世界を魅了し続ける巨匠の秘密とは? 30世紀の有毒の森、神々が疲れを癒す湯屋、赤毛のさかなの女の子、ふわふわの森の精――これらに共通する要素とは?“アニメ・クイーン”の異名をとる米タフツ大学教授が、「ルパン三世 カリオストロの城」から「風立ちぬ」まで11の長編と漫画版『風の谷のナウシカ』を徹底解剖。宮崎氏本人とジブリ関係者への取材も踏まえ、魅力の源泉に迫る。日本版オリジナル序文を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒデキ
35
ず~と、積読になっていた一冊でした 海外の研究者による宮崎駿論です 基本は、作品と文献からの 考察ですので、日本人として 当たり前に思っているところも 海外の研究者にとっては、考察の対象になっていて 面白かったです。作品のベースは、宮崎監督の生育史と時代背景に求めていますが、 果たしてそれで全部かなと思うとこもありながら 楽しんで読みました。2021/05/19
呼戯人
23
スーザン・ネイピアという未知の日本文化研究者による宮崎駿研究。著者略歴によると私より1歳年上の今年65歳になる研究者である。17歳の時に日本に留学した経験があり、ハーバートで大江健三郎や三島由紀夫を研究したというだけあって、日本の歴史と文化に詳しい。8年かけて書いただけあって、圧倒的熱量と洞察力の深さで宮崎の芸術世界の本質を描きだしている。宮崎のアニメ世界でたびたび現れる世界終末論的ビジョンは、どこから来るのか。「生命は闇の中の瞬く光だ」という洞察の拠って来る背景を探っている。2020/05/26
ナハチガル
10
原書で読了。慣れ親しんだものが客観的に分析されるのは時に刺激的だ。この本を読む傍ら、宮崎アニメを何本か見直してみたが、そこには常に新たな発見があり、矛盾があり、説明されない謎があって、深い感動が残った。すべてが明快で、すべての伏線が回収される作品とは対極にある。大衆向けなのに超個人的、あるいは超個人的だからこそ大衆に訴えかけるのだろうか。と、つい宮崎アニメについての話になってしまったが、この本自体は引用も多くどこまでが独自の見解なのかはよくわからないが、清濁併せ持つ宮崎作品への深い愛が感じられた。A+。2020/11/14
Mc6ρ助
10
『宮崎は特に一九七〇年代に大人になった世代を念頭に置いてルパンのキャラクターを創造したという。・・・宮崎は六〇年代の社会運動の信奉者だったため、彼らには特に大きな失望を抱いていたのだ。(p126)』「ナウシカ」と「紅の豚」以外は封切館でみたけれど、自分たちがハッパをかけられていたとは認識してこなかった、不肖のファンでありました。生きることに忙しかったと言い訳するしかないが、若者が自民党が最も革新的、共産党が最も保守的な政党という今の日本を前してには、その責任の一端はあると思うものの立ち竦むしかスベがない。2020/01/29
mike_sugino
7
図書館で借りて読了。著者は米タフツ大教授で、米における日本アニメ研究の第一人者。カリオストロの城から風立ちぬまでの監督作11作と、漫画版ナウシカを詳細に追うことで宮崎駿の作品世界を掘り下げて行く。私自身はハウル以降は未鑑賞で、トトロ・魔女宅・千尋の三作は地上波で観た程だが、他は映像ソフトを保有したりとのめり込んだ作品群。特にカリオストロはレーザーディスク(死語)で観てましたね。著者の分析は日米に跨る参考文献も凄いんだけど、日本語ネイティブでないからか所々違和感があったわ。劇場上映も始まったので観に行くか。2020/06/27




