内容説明
ほとばしる情熱と緻密な論理が一体となった、空前絶後のマンガ論! 「少年マンガというものは、人類が生み出した文化ジャンルの中で、もっとも特殊なものである、ということなんです」――日本を代表する知性・橋本治が独創的な視点で少年マンガ家の世界を読みといた幻の名著が、よみがえる。少女マンガ論の古典として名高い『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』の続編として構想されながら、上巻が刊行されたまま中断した『熱血シュークリーム』を中心に、少年マンガにかかわる文章を追加・再編集した決定版の電子書籍版。高森朝雄・ちばてつや『あしたのジョー』、大友克洋『FIRE BALL』『GOOD WEATHER』、永井豪『マジンサーガ』、手塚治虫『奇子』、高橋留美子『うる星やつら』、望月峯太郎『バタアシ金魚』……名作の数々への愛と共感にあふれた少年マンガ論の金字塔です!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
16
熱血シュークリームは上だけ出て下は目次の予告のみだったのか!?それと他の漫画に関する文章を取り混ぜてこの本にしました。漫画のSFXは既読でしたが線や効果のネーミングがセンスに溢れてます。永井豪論と大人漫画の手塚治虫論が出色でした。後編の予告になったいた、吾妻ひでお論を読んでみたかったけど、もうそれも叶わないのですね。お二人に心から合掌。冒頭の「少年漫画の特殊性」が歴史的背景を踏まえて、文学との比較で用を得ています、この辺は流石治ちゃんです。手塚治虫さんの「ばるぼら」が映画化なんてタイムリーですね!2019/11/17
akihiko810/アカウント移行中
13
図書館本。故・橋本治が「あしたのジョー」や、大友克洋のマンガを論じた漫画評論。85年の本の復刊。印象度B 最近の少年ジャンプ作品なんかを論じた本かと思って借りたら、やけに古い作品ばかり論じられてて、なんと85年の本だった。「ジョー」は力石の死んだ2部から、ジョーの真の戦いが始まったと論じる(力石は、大人の世界から死を賭して少年の世界に戻り、読者は少年の世界からあっさりと足を洗って大人の世界に屈した)。ジョーや手塚治虫を論じる部分は面白かった。 ただ私は、最近のジャンプ作品を論じるのを読みたかった2020/08/09
amanon
3
著者にはもっと漫画論を書いて欲しかったな…と思うことしきり。正直、あまりに極論過ぎてついていけなかったり、元ネタの漫画を知らないと理解しづらかったりという箇所も少なくなかったが、それでも著者特有の語り口でつい読み進めてしまうことに。やはり圧巻は冒頭の「少年漫画の特殊性」。これまでごく当たり前のジャンルだと思っていた少年漫画が実はかなり特異的なものだという指摘はまさに目から鱗。それを英米の児童文学と絡めて論じるなど、著者でしかできない離れ業ではないか?そのスタンスからちばてつやに入る件は著者の真骨頂。2021/06/04
Jun Masuno
2
橋本本を読了 若き橋本さんが少年、少女マンガを分析したもの どれも読んだことが無いのでピンと来るところが無い部分があるものの、変わらずの橋本節炸裂2019/10/27
ノllロ
2
「少年達に明日はない」といい「俺はもう〝明日〟を見つけちゃった」ともいう。「理想」と「意志」がキーワードか。「勝手に自信を持って各人の理想をこの地に実現せしむるような方向に動いてきゃいいんだわ」と。「開くべきキイは〝意志〟であり、開かるべきドアは、その意志を共有しうる〝人間の心〟である」「問題は、認識でも思想でもなく、ただ〝意志〟なのだ」と。「理想を実現しようとする意志を持つ時だけ明日があるのだ」とまではいわない。でも「見ようとしない限り、未来はないのです」(『青空人生相談所』)という言葉を残してくれた。2019/10/15
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