内容説明
262文字の中に記述された現代宇宙論のエッセンス。「ゆらぎ」理論の研究などで知られる物理学者が「般若心経」を科学のまなざしで読み解く感動の宇宙講義。この宇宙に存在するすべてのものは、根源において同一であり、互いに浸透しあう相互依存の存在である。私たちの体もまた「自分以外」のもので構成されており、物質としての自分の体は、時々刻々と変化しているのに、なぜ、自分は自分であり続けられるのか――現代科学が明らかにする宇宙の様相を、「般若心経」を通じて考察する、著者のライフワークここに結実!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
101
佐治先生の随筆には、いつも同じ話題が登場する:金子みすゞ、宮沢賢治、鈴木大拙、本田實…そして般若心経。宇宙創成後の基本粒子の離合集散のドラマは「諸行無常」、ハッブルの法則は「諸法無我」、不確定性原理は「色即是空」「空即是色」の別表現だと言う。138億年の宇宙の歴史を顧みると、存在するすべてのものが根源的に同一であり、互いに相互依存しあう存在という意味で、「般若心経」の世界観そのものなんだと。理論物理学を突き詰め、大乗仏教を深く理解した佐治先生。先生の豊かな人間性が、般若心経への帰依によって育まれたと知る。2026/06/09
江口 浩平@教育委員会
32
【仏教】東京にある本屋「読書のすすめ」の清水克衛店長が「成幸読書」の8月号で選んでいたため手に取った一冊。これまで仏教徒による般若心経に関する本は何冊も読んできたが、物理学の視点で解釈したものは初めてで、とても興味深かった。般若心経がめざすところは、「すべては心次第」ということへの気づきであり、道元が「火を噴く今」と表現したように、「かけがえのない一瞬を百パーセントあるがままに受け入れ生き切ること」が大切であるという。「これから」が「これまで」を決める。そう信じて前向きに進んでいこうと思える良書。2019/10/28
zag2
22
物理学のものの見方を援用して、般若心経を理解しようという趣旨はよく分かりました。客船飛鳥Ⅱの船内講義を依頼され、その時に話した草稿をもとに手を入れたものということで、本として読むには少し物足りない感じが残ります。何十年も前になりますが、松下眞一さんの「法華経と原子物理学」を読んだ時のような感動を期待していたのですが…2021/10/08
WAKUWAKU
5
全てを今の自分では理解し切れないですが、それでいいんだと思います。今を大事に生きる事。全てはひとつ、争う理由などない事。起こる事自体には良いも悪いも無く、意味付けしているのは人の心である事。これだけで充分触れた甲斐がありました。2020/03/31
ユミセツカヤ
4
東急電鉄のフリーペーパーSALUSで著者を知り、手に取った。魅力的だったのは般若心経と科学と天文学を絡めていた事。すべてはつながっている。そしてちっぽけな存在ではありながらも生きている人間である事、人間だけでなく物質や天体も「共存」している事などを知れた。金子みすゞや宮沢賢治、まどみちおの詩も引用されていたのも、著者の広い知識と教養を窺い知る事ができて良かった。本当の「知性」に触れられた気がした。2022/10/15
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