内容説明
奇跡の三夫婦が奏でた大恋愛と大家族の物語。
明治時代に、北海道・大沼を開拓した者たちの係留として、大沼の地で自分たちらしく根を張ろうとした小さな母と長身の三兄弟。また、この地を新天地と考えて、第二次大戦後、山梨より順に嫁いでいくことになる、個性溢れる三姉妹。この大家族は、様々な困難に見舞われながらも、この地に新風を注ぎ込んでいく……。そして、母の死に際に、三夫婦に明かされた謎とは?
北海道を舞台に、数々の小説を発表してきた著者が、5年の歳月をかけて紡ぎ上げた、実話をもとにした感動長篇。
※本書は過去に単行本版として配信された『大沼ワルツ』の文庫版です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
88
実話を基にした、大沼を舞台にした大家族を描いた感動の長編。開拓者として大沼に根をおろした倉島家の三兄弟と山梨から嫁いだ坂田家の三姉妹の奇跡的な三夫婦の波乱万丈の人生を温かい眼差しで淡々と綴った地味だが心温まる作品。三兄弟の母であり三姉妹の義母の那須子の存在がこの物語になんとも言えない味わいを出している。慣れない土地に嫁ぎ、早く夫を亡く、大変な苦労をして三人の息子を育て上げ、山梨から三姉妹を嫁に迎え、息子たちの成長を見守り、姑を看取る、まさに自分を犠牲にして家族のために生きた生涯、読んでいて思わず涙が出た。2023/03/30
カムイ
49
北海道出身の作家を好んで読むことにしている。つい先日、大沼にドライブに行ったので作品に没入ことができた、駒ヶ岳の景観はよく軍川(いくさかわ)からの景色が特に好きで眺めることがあった。登場人物達はフィクションだと思っていたらモデルがいたのは奇跡である❗️時代が時代であったのだろうけど、那須子の強引な結婚はどうなんだろう😅幼少の頃仁山のスイッチバックに感動したカムイは祖父母のいる大沼に遊びに行くのが楽しみだった。2022/06/04
piro
38
秀麗な駒ヶ岳を望む北海道・大沼を舞台にした、実話に基づく家族の物語。倉島家の3兄弟に嫁いだ坂田家の3姉妹の波乱に満ちた、でも明るさにも満ちたお話でした。戦後間もない頃から高度成長期を経て平成まで。様々な苦難がありながらも、あまり悲壮感は感じられない。それ程に逞しい家族だったのだと思います。長兄の秀雄がユースホステルを開くエピソードは、かつて多くのYHを泊まり歩いた私にとって心が湧き立つ様な話。そして強い絆で結ばれた家族の姿は、北の自然の中でいつまでも美しく輝いている事でしょう。2024/12/10
カピバラ
29
三姉妹×三兄弟かあ…三姉妹の末っ子としては、絶対いやだ〜と思ってしまった笑 のびのびとした北海道の暖かいお話でした。 聖良の嫁ぎ先は酷かった…2020/04/08
nyanlay
6
まさに事実は小説より奇なり、ですね。結婚だけでなく仕事も何とかなったって今では羨ましいの一言。ツネばあちゃんの気持ちもわからなくもないなぁ。2021/01/14