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内容説明
時間どろぼうと,ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子モモのふしぎな物語.人間本来の生き方を忘れてしまっている現代の人々に〈時間〉の真の意味を問う,エンデの名作.
目次
目 次
第一部 モモとその友だち
1章 大きな都会と小さな少女
2章 めずらしい性質とめずらしくもないけんか
3章 暴風雨ごっこと、ほんものの夕立
4章 無口なおじいさんとおしゃべりな若もの
5章 おおぜいのための物語と、ひとりだけのための物語
第二部 灰色の男たち
6章 インチキで人をまるめこむ計算
7章 友だちの訪問と敵の訪問
8章 ふくれあがった夢と、すこしのためらい
9章 ひらかれなかったよい集会と、ひらかれたわるい集会
10章 はげしい追跡と、のんびりした逃亡
11章 わるものが危機の打開に頭をしぼるとき……
12章 モモ、時間の国につく
第三部 〈時間の花〉
13章 むこうでは一日、ここでは一年
14章 食べものはたっぷり、話はちょっぴり
15章 再会、そしてほんとうの別れ
16章 ゆたかさのなかの苦しみ
17章 大きな不安と、もっと大きな勇気
18章 まえばかり見て、うしろをふりかえらないと……
19章 包囲のなかでの決意
20章 追手を追う
21章 おわり、そして新しいはじまり
作者のみじかいあとがき
訳者のあとがき
エンデの人柄にふれた日々 佐々木田鶴子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zero1
829
時間泥棒は私でありあなた。何度目かの再読なので変わったことを書く。社会が全体主義に傾いた時【それは違う!】と言えるだろうか?【みんなが!】【普通は!】と言い出したら【少数派であることを恐れない】ことがいかに難しいか。試されているのは読者自身。【他人でなく自分はどうなんだ?】という問いを続けるには勇気が必要。時に少数派は監視され排除される。隣組による【非国民!】という憎悪の目がそうであったように。時間に追われる現代人が読むべき一冊。児童文学というより大人が冷や汗を感じつつ読む作品。だから批判もある(後述)。2020/05/26
ehirano1
778
確か児童書のコーナーで売られていたのを見た覚えがあったのですが、「現代社会の問題点を鋭くえぐった立派な思想書、哲学書です」、と佐藤優氏が『人をつくる読書術』で言及していたので手に取りました。佐藤氏が云う思想書や哲学書とまでは読み込めなかったのですが、「時間泥棒」はとても印象に残りました。なおで、この辺りくらいから思想書や哲学書に接近できればいいなと思ってます。2022/10/14
Willie the Wildcat
720
時間と心理状態の相関関係。価値を見出すのは、仕事も遊びも同じ。豊かな人生を問い続け、物質主義や効率性を追求?然るにその結果は如何に・・・。親や大人の子供への影響の件は、少なからず耳が痛い。「時間の花」。自分の心であり、心の表現。鍵は、待つこと!結果を求めすぎる現代にも通じるMSG。読後、大人のための児童書ではなかろうか、と考えさせられた。蛇足だが、カシオペイアが「ミーナ」を彷彿。言葉ではなく存在感・・・。包容力が共通項かなぁ。(笑)2014/07/19
小梅
705
時間に追われる毎日。時間泥棒はいつの時代にもいるんだろうな…モモ、私の時間を取り戻してくれてありがとう!作者のみじかいあとがきが凄く良かった。エンデの奥さんは日本人なんですね。ずっと手元に置いておく本の仲間入りです。2018/02/03
おたま
596
「時間」について書かれたファンタジーだが、「時間」だけではなく、今現在の社会でも問題になっている「生産性」や「効率」といったことも考えさせられた。また、ファンタジーといっても子どもだけに向けてではなく、大人も(大人こそ?)読んだ方がいい。現代社会批判のプロパガンダではないので、作品としても十分楽しめる。ベッポじいさんの働き方、ジジの語り、子どもたちの遊び等のシーンが印象的。特に、「時間の花」と振り子のシーンは大変美しく描かれていて心奪われる、と同時に「時間とはいのち」ということに形を与えていると思う。2020/02/10