内容説明
気鋭の若手評論家の初小説!
南部照一は、孤独な自営業者だった。茨城県取手市在住。猫と車を愛する27歳の平坦な人生は、ネット上のとある出会いによって狂っていく。
ひょんなことから保守系言論人の勉強会に参加し、中堅警備会社「シュトケイ」の懸賞論文に応募するや、入選。一躍、保守論壇の新星に祭り上げられ、日本唯一の右派系テレビ局「よもぎチャンネル」レギュラー出演者への道が拓けていく。
順風満帆の照一だったが、彼が足を踏み入れたのは、野心と嫉妬が渦巻き、裏切りや出し抜きが横行する下劣な世界だった。論客同士のパイの奪い合いから、思いも寄らぬ襲撃事件が発生した――。
◎気鋭の若手論客、古谷経衡氏による初小説。単行本発売時、ネット右翼を騒然とさせた話題作が早くも文庫化! 解説に元外務省主任分析官・佐藤優氏。
<小説の体裁を取っているが、右派の論壇人としてデビューした古谷経衡氏にしか書けない優れた社会人類学的作品だ。21世紀の日本で、愛国心を道具にして、排外主義的ナショナリズムが生成していく過程が見事に描かれている。>――解説/作家・佐藤優氏
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
こも 旧柏バカ一代
26
小説だが、全く理解出来ない自称愛国者達の生態を見た気がする。 医者は医大に入って実習をしないとなれない、教師も教育大に入らないとなれない、商売も勉強しないと出来ない。 でも、愛国者は資格がいらない、自称すれば愛国者になれる。 在日特権とか意味がわからない。在日韓国人じゃなくて、アメリカ軍の基地か兵士に言いに行けよ。 あと最後に、主人公!モゲロ!!!w2019/11/07
す○○
8
友人が差別的発言ばかりするようになった。P228の男のようにネットで拾った情報を鵜呑みにし、こちらの反論は「メディアに騙されている」で一蹴してくるので始末が悪い。友人には本作で描かれている金儲けとしての愛国ビジネスの存在を知ってもらいたい。若手の気鋭として世に出た南部も「根が商売人で合理主義」P348であり「雷雲と思しき灰色の影」P427と喩えられる馬鹿の巣窟に生きていく。出身校は実在する校名の方が人物をイメージし易いが上位校出身者ばかりではないため架空の校名にせざるを得なかったのだろう。2024/08/11
烏骨鶏
8
この頃はあまりネトウヨとか聞かなくなったけど、これはその頃の概観を教えてくれるような作品だった。「参与観察」って解説にあったけど、正にそんな感じ。主人公は状況に流されながら、あまり巻き込まれずに、一寸第三者みたいな顔をして事態を眺め観察している。もっと次のページで火の粉が降りかかってきたり、抜き差しならない目に遭うんじゃないかとそわそわしながら読んだけど、最終的にやっぱり「観察者」だったなと思った。2024/01/01
hahaha
7
ネット右翼(ネトウヨ)がどのように支持を広げ、自分たちの生計を立てていくか、小説の形を借りて表現した本。解説で佐藤優が参与観察と定義しているが、作者の実体験が大きく影響していることから、架空の話に説得力がある。 陰謀論をひけらかす人と、それを真に受ける人がいる。ネットで書いてあることを真実だと信じたいという気持ちの背景には、満たされない何か、不安、不満が根強くあるのかもしれない。作中に、買収工作に対して、仏文学者の爺さんが、学問のないやつを相手にして続かないと、痛烈に批判するところが印象的だった。2021/03/09
buuupuuu
7
いわゆるビジウヨの世界。愛国ポルノなどと揶揄されるが、欲求があれば需要があり、それに答えることが商売になってしまう。2020/10/30
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