内容説明
江戸は両国。暮れても提灯の明かりが灯る川沿いの茶屋は、夜も大賑わい。通りの向こうの見世物小屋では、人形遣いの芸人、月草の名が最近売れてきている。
なんでも、木偶の姫様人形、お華を相方に、一人二役の話芸を繰り広げるのだという。それも、話芸が目当てというより、お華に会いに来るお客が多いというのだ。
何故なら。“まことの華姫”は真実を語る――
姉を殺したのは、実の父かもしれないと疑う、小屋一帯の地回り山越の娘・お夏。
六年前の大火事で幼な子を失い、諦めきれずに子ども捜しを続ける夫婦。
二年前に出奔したまま行方知れずの親友かつ義兄を探しにはるばる西国からやってきた若旦那。
そして明らかになる語り部・月草の意外な過去……
心のなかに、やむにやまれぬ思いを抱えた人々は、今日も真実を求めてお華の語りに耳を澄ます。
しかし、それは必ずしも耳に心地よいものばかりとは限らなくて……
快刀乱麻のたくみな謎解きで、江戸市井の人々の喜怒哀楽を描き出す、新たな畠中ワールド!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mariya926
126
なかなか面白い設定ですね。まさかまことの華姫が人形だったとは思いませんでした(笑)だけれども華姫の言葉はまことであると言われていて、人たちは見世物小屋までやって来てその話を聞きます。影の薄い月草も、過去があっても懸命に生きていて、たまーに冴えた推理力を見せるので事件がたびたび訪れます。雇い主の娘であるお夏も、父親との葛藤もこのコンビと出会ったことによって乗り越えられました。江戸時代の物語が好きですが、畠中恵さんの世界も楽しいです。続きが出たみたいなのでリクエストしてみます!2020/09/15
Rin
56
本当は意思をもってる?と思わず疑っちゃうくらいに、生き生きとした姫様人形のお華。お華はまことを知っている。だからどうしても知りたいことがあれば、お華に尋ねればいい。でもそのまことは、本当のまことだから本人には都合の悪い場合もある。そう言われても、どうしても知りたいことを抱えた人々が、お華を腹話術で操る月草のもとにやってきて事件が起きてしまう。調査をする時も、手繰り寄せた真実を語る時も月草はお華を通して語るから、読んでいてもお華が1人の人間として語っているように思えてしまう。ミステリとしても楽しめました。2020/03/14
優希
52
面白かったです。ミステリー仕立ての時代小説。ミステリーと言ってもライトで読後感も悪くありません。何より口の悪い人形・華姫とヘタレな人形遣い芸人・月草の凸凹コンビのやりとりがツボでした。2021/05/16
kyokyokyo3201
50
なぜだか、なかなか読み進められず苦戦してしまった。月島の存在感が薄いためか、華姫が月島を借りて「まこと」を語っているように思えた。シリーズが進むと登場人物たちに親しみが湧いてくるだろうか。2019/07/26
katsubek
48
軽め。さらりと読める。2022/08/10