中公文庫<br> 諸葛孔明(下)

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中公文庫
諸葛孔明(下)

  • 著者名:陳舜臣【著】
  • 価格 ¥775(本体¥705)
  • 中央公論新社(2019/10発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784122020511

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内容説明

関羽、張飛が非業の死を遂げ、主君劉備も逝き、蜀の危急存亡のとき、丞相孔明は魏の統一を阻止するため軍を率い、五丈原に陣を布く。史料の徹底的な吟味によってよみがえる孔明の「志」! 後漢の光和四年(一八一)、琅邪の諸葛家に次男が誕生した。名は亮。四歳のとき、黄巾の乱が起こった。宦官と士大夫が抗争を繰り返した後漢王朝は衰微し、中国は未曾有の動乱期に入ったのである。父を亡くした孔明は叔父にひきとられ、襄陽で青年期を迎えた。覇を競いあった群雄の多くは滅び、袁紹を破った曹操が北方の大勢力となった。万民の幸福を希求し、天下の形成を冷静に分析する「臥竜」孔明の草廬を、荊州の劉表に身を寄せる劉備が訪れる……。透徹した史眼、雄渾の筆致がとらえた諸葛孔明の新しい魅力と壮大な「三国志」の世界。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

糜竺(びじく)

46
吉川英治文学賞受賞作品で、三国志の蜀の劉備玄徳の名軍師、諸葛孔明が主人公の歴史小説です。下巻です。著者は私の好きな直木賞作家の陳舜臣先生です。この作品の孔明像は、人々の脳裏に焼き付く奇略を縦横に駆使する軍師の面影は全くありません。むしろ、陳舜臣先生の描く孔明像は、どこまでも理知的な宰相としての孔明でした。この作品で興味深かったのが、南蛮の孟獲が、冷静で思慮深い感じで、なんかカッコ良かった所です。他の作品に出てくる孟獲とは、キャラが全然違いましたが(笑)、それはそれで面白かったです。良作でした。2016/08/23

AICHAN

45
図書館本。史実に近い孔明が描かれていると思う。「三国志演義」のような神がかった孔明、奇術のような軍事作戦も出てこない。人間・孔明が描かれる。したがってハラハラドキドキの展開はないしこれといった盛り上がりもない。最も重要なポイントは、孔明を天下の安定だけを求めた民政家として描いている点だ。丞相であり軍事専門家ではない孔明自らが五丈原まで戦ったのは蜀に軍事の人材が乏しかったためだろう。ただ五丈原で死んだとき敵の司馬仲達が孔明の奇計と感じて退却したことを思うと孔明の知略は相当恐れられていたのだとは思う。2018/10/27

Y2K☮

41
再読。著者によると孔明は中華統一を必ずしも目指しておらず、三つの国が繁栄を競う中で人々が幸せに暮らせれば、と考えていたらしい。何もしなければ圧倒的強者の魏にいずれ併呑される。それを防いで三国鼎立を続ける為に何度も戦を仕掛けたのだと。一理ある。中国でもアメリカでもロシアでも広大過ぎる国土を一つの政府が統治すれば、少数派や弱い者まで目が向かなくなるのは必定だから(さほど広大でもない日本がその顰に倣っている現状は実に残念)。民衆目線で情を重んじつつ、法を遵守して愛弟子の馬謖を泣いて斬る。私心を持たぬ政治家の鑑。2015/06/22

ユー

26
一人の書生として、一人の軍師として、そして、一人の総司令官として。巨大化する組織を、どのように纏めて行くか。歴史的背景もさることながら、組織的背景も伝え方や使い方の手法が結構リアルに書かれており、さすがとしか言いようがありません。 2019/04/29

カワセミ440

8
陳舜臣さんの冷静な視線で書かれた諸葛孔明論だな。どこまでホント?はさておき、三国志演義系統に見られる霊的な部分が入ってないところも良いね。諸葛家の執事、情報収集能力抜群な甘海ってたぶん実在の人物じゃないのかな?でも、いいキャラだ。柴錬や吉川三国志では結構主要キャラだった姜維も出番殆ど無かったな。黄氏が『綬』として一緒に蜀に居たのはちょっと嬉しい、工作好きってホントだったの??まあ、お話だからね。陳さんの孔明は極論で言えば『主劉家の存在よりも万民の幸福のために生きる』って言い切ってるところが凄いね。2017/02/08

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