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内容説明
「大学は危機に瀕している」。何十年も前からそう叫ばれつづけてきたが、いまでも、様々な立場から大学を変えるための施策がなされたり、意見が交わされたりしている。では、大学の何が本当に問題なのか? 80年以降の改革案から遡り、それらの理不尽、不可解な政策がなぜまかりとおったのか、そして大学側はなぜそれを受け入れたのかを詳細に分析する。改革が進まないのは、文部科学省、大学関係者だけのせいではない。大学改革を阻む真の「悪者」の姿に迫る。
目次
序章 大学解体から大学改革の解体へ
第一章 Syllabusとシラバスのあいだ――和風シラバスの呪縛
第二章 PDCAとPdCaのあいだ――和製マネジメント・サイクルの幻想
第三章 学校は会社じゃないんだよ!――残念な破滅的誤解から創造的誤解へ
第四章 面従腹背と過剰同調の大学現場――実質化と形骸化のミスマネジメント・サイクル
第五章 失敗と失政から何を学ぶべきか?――大学院拡充政策の破綻と「無責任の体系」
第六章 英雄・悪漢・馬鹿――改革劇のドラマツルギー(作劇術)を越えて
第七章 エビデンス、エビデンス、エビデンス、……――「大人の事情」を越えて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
65
明らかに学生が主体となっていない大学「教育」。政府や文科省の役人にも責任はあるけれど、この際大学の教員自体ももうちょっと「教育」ができる体制にしたほうが良いのではないか。補助金で右往左往させられている実態は早急にどうにかしてほしい。種々の問題のしわ寄せはすべて学生に来る。2019/11/10
trazom
41
大学の教育・研究の課題を論じるのかと思いきや、本書は、文科省主導の大学改革の意思決定論への批判が中心だ。シラバスごっこ、PDCAごっこなど、小手先の「小道具」ばかりで「慢性改革病」に苦しむ大学の姿がある。政策は、EBPM(Evidence-Based Policy Making)たるべきなのに、都合の良いデータだけで正当化するPBEM(Policy-Based Evidence Making)になっているのは、最近の政治の常道である。私には、この迷走の真の被害者である学生たちの沈黙が、歯痒くてならない!2019/12/24
きいち
23
凄みを感じた暴走族参与観察、そして頼りになる質的データ分析の教科書。その社会学者が、現場で抱き、多様な研究者たちと共にリサーチした大学改革の問題点を述べる。そのうえで、失敗責任の追及と本来の形でのエビデンスに基づいた政策立案を提案する。◇自己目的化したPDCA、選択と集中…つまりは経営ごっこ。確かにイケてない。でも、それが生まれるのも、大学への予算削減のため。つまりひっくり返さなければいけないのは、大学への投資を「私たち」が支持していない状況だ。◇この議論はそれに役立つか?味方増やすことを優先すべきでは?2020/08/15
モリータ
18
2005学部入学、2017博士修了、2014年から非常勤だった私にとって、シラバスの変化は実感を持って思い出せる。その他の迷走ぶりも大学の端っこにいて伝わってくる。しかし、シラバスが教員と学生との内的契約文書だとして、「和風シラバス」についてコピペ多発の統一フォーマット(&紙出力)の馬鹿らしさとか、作成時期が早すぎるといった批判はわかるのだが、それすらなかった時代よりも圧倒的にマシな体制ではないのか?「学生はシラバスを読まない」という筆者まわりのエピソードはエビデンスたりえているのか?など、疑問は残る。2020/01/04
スプリント
15
大学改革の話ではなく、一般化してきたビジネス手法の問題点の列挙とエスプリの効いたダメだしの方が参考になりました。2019/12/31
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