内容説明
――「彼を知り己を知れば、百戦殆うからず」(孫子) 私たちは何者なのか――。令和の日本人は「己」について知っているだろうか? 『戦後史の正体』の著者が、「複数の外国人の目=フェイクのない客観的な」日本通史を通じて、「日本人とは何か」という難問に挑む。日本人論の決定版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
32
外国人による「日本論」「日本人論」を集めたアンソロジー。徒に外人の評価を気にするのは悪弊だと思うが、ハッとするコメントも多い。特に、アイヴァン・モリスの視点が鋭い:「日本の英雄の原型は日本武尊と大塩平八郎」「外来文化を無差別に移入した時代のあとに反動期が来る。中国文化吸収後の平安の国風文化、南蛮文化吸収後の鎖国、西洋文化吸収後の国粋主義の台頭」。更に、「中国では、倫理学が宗教の役割。日本人の場合は美学」(オフチンニコフ)、「信長や秀吉の時代とエリザベス時代は同じ素質」(ジョージ・B・サンソム)なども納得。2019/11/27
koji
20
「日本・日本人とは何か」を追いかけています。本書は外国人知識人による日本論を集め分析・解説を加えたものです。元外交官で論客の孫崎さんだけあって、選択された日本論はいずれも鋭い視点です。私なりには、人物ではEライシャワー、アイヴァンモリスを、思想では徳川幕府から太平洋戦争に至る精神性の変遷をもう少し追いかけたいですね。気になった言葉を二つ。①(日本文明は)外国文化の受容と日本調への揺り戻しの繰り返し、②「鎖国は外国の計略に乗らず、貪欲を跳ね返す叡智」カントも鎖国を支持したそうです。こういう視点もあるのですね2020/01/21
Nobu A
17
孫崎亨著書2冊目。前著「日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土」がとても興味深い内容だったので手に取った本書。19年刊行。正直失敗。日本に対する第三者の評価を検証するのが本書の売り。試み自体は悪くないが、海外著名人の様々な媒体を通しての日本に関する言及は比較対象が無意識もしくは半無意識的にあるはず。大抵はそれぞれの母国。時代背景もあるしそれらを考慮せず、また中途半端な考察だけで日本はこんな国だと判断するのは横暴過ぎる。あくまでも参考程度。継ぎ接ぎ感満載。紙面の無駄遣いも多い。残念ながら途中から流し読み読了。2024/09/05
Toska
16
外からの目で見た日本を振り返るという面白そうなテーマなのに、個人的には全く引っかからなかった一冊。同時代人も後世の研究者も、日本に特別な愛着を持っていた者も一時的な訪問者も整理せず、全て「異国の眼」にひっくるめてしまう。色々様々な記録の中から「日本人は礼儀正しく勤勉」「権威に弱く個性がない」等々のワンフレーズを切り取り、機械的に並べているだけ。そもそも著者自身の歴史観が薄っぺらで、外国人を参考にするどころではないように感じる。2024/06/09
Hiroki Nishizumi
5
正体と言う表題は少し大袈裟。他所から見た日本人評価が列挙してあるので参考文献とし役に立ちそうだ。2020/06/25