内容説明
「この学校には、永遠の命を持つ生徒がいる」
女子校「私立藤凰学院」に勤めることとなった、生物教師・伊藤は、同僚の教師や、教え子からそんな噂を聞く。人として、生き物としてありえない荒唐無稽な話。だがある日、伊藤はその「死なない生徒」に話しかけられた。
“自称不死”の少女・識別組子。だが、彼女はほどなく何者かによって殺害され、遺体となって発見される――!
“生命”と“教育”の限界に迫る鬼才・野崎まど新装版シリーズ第3弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
56
新しく学校に赴任してきた教師が出会う「永遠の命を持つ生徒の噂」。学校の怪談的ホラーを連想しながら読むが、不死の概念についての考察が主な所。犯人よりも不死の理由を暴くミステリとして楽しめた。著者の小説らしく語り手の男性と妙に衒学的な女性の掛け合いで話が進んでいくのだが、このスタイルと考察って妙に合うよね。こういう生命とかの概念を捉え直していくのとか、伊藤計劃連想させるのだけど、現在の日本SFってこういうのが主流となっているのかなあ。読み終えた時点で、タイトルが持つ意味に気付かされて驚かされるのもまた良し。2020/06/12
オフィーリア
52
“不死の人間が存在する”そんな都市伝説の伝わる学園で殺害された“不死の”生徒。次々に奇人達が現れやりたい放題する中、明らかになる不死の秘密とは?何故不死の生徒は殺害されたのか?今回も認識をひっくり返してくれました。やられた!2024/05/02
shio
27
「永遠の命を持った生徒」がいる女子校に赴任した伊藤。その生徒は識別組子。識別と友達になりたい、転校生・天名。そこで起こる、殺人事件。殺されたのは識別。犯人は誰?永遠の命は本当にあるの?識別の話口調が前作のみさきに似てるので何か関係あるのかな。読むほどに理解不能になっていく…でも面白くないわけじゃない。識別の描いた「四角形と五角形の間の図形」を見た時に伊藤が抱いた印象。「脳みそに直接触られているような気味の悪さ」がこの作品の感想。とりあえず、シリーズ?最後まで読まないと、もう何も言えなくなってきた…2021/01/01
Shun
25
シリーズ3作目は学校が舞台のミステリ。赴任したばかりの生物教師・伊藤が主人公と、本シリーズにしては極普通な名前の人物のため、あまり重要な立ち位置ではないのかもと想像をします。そして彼が赴任した高校には、永遠の命を持つ生徒がいると噂されており勿論表題の殺人事件に係ってきます。自称不死の少女・識別組子とまさに生命の問題を扱う学問が専門の主人公との対話が本作の核心だが、その際彼女が説明に用い最後まで抽象的な問題として残った「四角形と五角形の間の図形」とは一体何だったのだろうか。すごく作者の頭の中が気になります。2020/08/09
moto
18
死なない生徒が殺されるという、独特な世界観にもかかわらず、キャラクターの掛け合いは安定して面白かった。ミステリー要素も強いので、最後まで色々考えながら楽しく読めました。前半の会話パートの面白さ⇒後半の急展開はクセになりますね。2019/12/08