岩波新書<br> 歴史の進歩とはなにか

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岩波新書
歴史の進歩とはなにか

  • 著者名:市井三郎
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 岩波書店(2019/10発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004130024

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内容説明

人間の歴史にとって進歩とみえる現象が、他方では大きなマイナスをもたらしている事実が明らかになるとともに、素朴な人間進歩への信仰は崩れて、進歩をはかる価値観自体が混迷している。人間にとっての進歩とは、価値とは、という問いに対して、著者自らの主張を提示しつつ、読者自身がその問題を考えることを促す哲学のすすめ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うえ

7
「マルクスのいう社会主義革命を成就した国々において、スターリニズム的抑圧が起こりつづけるだけでなく…ユーゴスラヴィアのような社会主義国にあっても、新しい支配階級が旧ブルジョア階級にとってかわって登場したにすぎない…ハンガリー事件やチェコ事件まで入れて考えると、国際的にも「社会帝国主義」という呼び名がおかしくないような、変わりばえのなさが痛感される」著者はその後、絶えず革命を続行しない限り階級対立は永続するとした毛沢東を評価した上で、その源流、章炳麟の思想ー自らが滅ぶことまで認識を徹底するーを評価して終える2021/03/15

ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き

4
学生時代に読んだ本。西洋の代表的な進歩史観を概括しながら、その限界を指摘、それに代えて、快楽や快適さの追求ではなく、「各人の個人的責任を問われる必要のない不条理な苦を如何に減らすか」という視点を提案する。初めて読んだ時もなるほどと思ったが、今回も、当たり前に見えながら、かなり実践的かつ根源的な提案だと思った。2014/12/03

3
本書は西洋の根底にある”進歩”というものがいかに逆説的か、つまりある社会の”進歩”がいかにその社会内あるいは地球上の他地域における災厄をもたらしてきたかを指摘し、その状況が現代でも続いているという警鐘を鳴らす本である。二章三章で進歩史観を具体的にまとめてその問題点を指摘し、第四章で非情的自然主義型と浪漫的理想主義型に類型化する。そのうえで五章六章では著者の新たな価値尺度を提案。七章八章では西欧の近代的諸概念に内在する根本的なパラドックスを説明。2021/10/19

ダージリン

3
進歩という概念について考えさせられた。何気なく進歩という言葉を使っているが、何をもって進歩とするかはそう単純な話ではない。本書で紹介されているレヴィ・ストロースの視点は教えられるところが多い。現代をどう判断するかは難しいところだが、揺り戻しはありつつも、基本的には良い方向に向かっていると信じたいところだ。この本が書かれた時期は冷戦、核の脅威、南北問題などがよりクローズアップされていたのであろう。そういう空気感は随所に感じる。2018/12/15

Don2

2
欧州は「自由・平等・博愛」を掲げ、唯物史観に基づく「非常的自然主義」から人道主義に基づく「浪漫的理想主義」的社会への"進歩"を志向してきた。同時に"進歩"は格差の拡大等の諸問題を不可避的に生んだ。 では進歩の適切な定義とは、が主題。結局ではどうすればよいのか(当然ながら)答えは出ないが"進歩"に関する議論を概観するに良い。何より、時折挿入される引用句が心に刺さる。「たえず人間を語ってやまなかった欧州ーその精神の獲得した勝利の一つ一つに、人類はどれほどの苦悩を支払ってきたか、今日我々はその事を知っている」2020/05/07

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