光文社古典新訳文庫<br> ペーター・カーメンツィント

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光文社古典新訳文庫
ペーター・カーメンツィント

  • 著者名:ヘッセ/猪俣和夫【訳】
  • 価格 ¥869(本体¥790)
  • 光文社(2019/11発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334754044

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内容説明

豊かな自然のなかで育ったペーターは、文筆家を目指し都会に出る。友を得、恋もしたが、都会生活の虚しさから異郷を放浪した末、生まれ故郷の老父のもとに戻り……。青春の苦悩、故郷への思いを、孤独な魂を抱えて生きてきた初老の独身男性の半生として書きあげたデビュー作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

56
ヘッセの処女作。とても素晴らしい作品でした。主人公・ペーターと様々な人とのふれあいが愛おしい。特に障害者・ボッピとのやり取りには心温まりました。ペーターは様々なことを通じて人間の深いところを知っていったのだと思います。2021/05/06

ころこ

39
「どうしてこんなに悲しく、生きていくことが下手なのか」死ぬのはヒロイズムなので、死ぬということが、一廉の者になれなかったり、恋愛を成就できなかったりしても、それらと見合う意味が自分の生と釣り合いを取ってくれます。そうではない人生がある。しかも恐らくそういう人生が普通なのだ。主人公が独身で死なない、これが本作の特徴です。冒頭、自然の描写が続き、他のヘッセ作品よりも読み辛いという印象を受けます。同時に、後年の作品は人物の輪郭を際立たせるために、自然描写を切り落としていたのだということに気付きます。しかし自然描2021/11/07

みつ

28
再読。前回読んだのは新潮文庫版で表題は『郷愁』。ちょうど半世紀前、季節も同じく5月、高校からの帰路、電車待ちの駅で読んだことをはっきり思い出す。内容は覚えているようないないような・・スイスの村に生まれ、ギムナジウムで学び、ハイネの『歌の本』を読み耽る。ニーチェには疎いが雲の美しさに魅せられる。淡い恋の思い出も含めこうしたエピソードは漠然と蘇ったが、大酒飲みであったことも、80歳の父を世話をする初老の独身者の回想という構成も記憶にない。どこかで聞いた「ヘッセは青年と同時に老年のための文学」との言葉に今納得。2024/05/09

nami

22
近頃読んだ本の中で最も強く胸を打たれた。社会に上手く馴染めず、孤独な魂を抱えた独身男性の生涯を綴った本著は「荒野の狼」や「シッダルタ」と比べると素朴な雰囲気で、華々しさといった点では些か劣るような気はするが、読み終えた後は、如何なる人生も素晴らしいものであることを強く感じていた。 孤独な魂を抱えた存在だからこそ、他者の痛みを理解し、巡り逢えた運命や施された優しさが奇跡であることを知ることができる。生まれながらに障碍を抱えながらも神様に愛された人、ボッピと過ごしたきらめく日々は感動的で、涙が止まらなかった。2024/02/05

ラウリスタ~

11
ヘッセ27歳の小説。アルプスの谷間の村で生まれ、ドイツの都会に出て詩人を目指す。友情(やや同性愛的なものと、慈善的なもの)と二度の失恋。素晴らしきイタリア旅行、パリ生活の失意を経て、スイスに戻ってくる。ラテン語を学び学者になるかとも思われた若者は、今や中年。たまに短編や書評を投稿し、80になった父親の世話をし、結婚はもう諦めている。芸術や学問の世界に入るかと見せかけて、結局、自分の本来属する山の生活、職人の世界への愛着。アルプスの少女ハイジみたく、高地人が広い世界を見ようと低地(ドイツ)に行き戻ってくる話2020/10/13

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