内容説明
羽野千夏は、民俗学の「口頭伝承」を研究する大学生。“消えない記憶”に興味を持ち、認知症グループホーム「風の里」を訪れた。出迎えたのは、「色武者」や「電波塔」などとあだ名される、ひと癖もふた癖もある老人たち。なかでも「くノ一」と呼ばれる老女・ルリ子は、夕方になるとホームから脱走を図る強者。ほとんど会話が成り立たないはずの彼女が発した「おろんくち」という言葉に、千夏は妙な引っ掛かりを覚える。記憶の森に潜り込む千夏と相棒の大地。二人を待っていたものは……!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
101
川瀬さんの文庫本最新刊です。昆虫学捜査官シリーズだと思っていたのですが違うのですね。主人公は民俗学研究の女性大学院生と母親の束縛が強すぎる落ちこぼれ男子高校生です。あるグループホームへ研究のために行くのですがそこにいるお年寄りはほかのところで見放された行き場のない老人ばかりですが私には結構まともに感じました。本当に介護度が高いのかと思ってしまいます。それは物語ということで割り切って読みました。ミステリーの色合いもあったり、あるいは建前ばかりのカウンセラーなど皮肉っているところもあります。楽しめました。2019/10/25
白のヒメ
34
大学の民俗学の実習で認知症の老人たちが暮らすグループホームを訪れていた主人公。老人たちの話す昔話を取材するためだった。ある奇行を繰り返す老女の言葉「おろんくち」その言葉の意味が分かれば、奇行を解決することが出来るのではと、主人公は民俗学的な立場から、その言葉の意味を探し始める。・・・とっても切り口が面白く、引き込まれていく。ただ、認知症の老人達がここまで理路整然と議論を交わしあうようになれるとは、自分の職業柄、やはり到底思えず違和感があったが、全体的にはとても面白かったです。2020/08/10
Karl Heintz Schneider
31
羽野千夏は民俗学を研究する大学院生。認知症グループホーム「風の里」のアシスタントかたわら老人たちの話す「昔話」から「口頭伝承」のヒントを探ろうと試みる。ところがここには他から厄介払いされて最後にたどり着いた、いずれ劣らぬくせ者ぞろい。果たして「口頭伝承」を聞くことができるのか。「フォーク」は民族、「ロア」は伝統的な知識や物語。"folklore"民俗学、民族衣装、都市伝説を意味する。ラテンアメリカでは「フォルクローレ」と呼ばれ民俗音楽のことを指す。2024/08/28
星群
18
民俗学×老人ホーム。くノ一・ルリ子さんが何を伝えたいのか気になって読了。郵便屋、色武者、電波塔など個性的な老人たちと、千夏さんのやり取りが微笑ましかった。今回は想像していた話とは違ったけど、また皆で活躍してくれないかなと思いました。大地少年のこれからも楽しみです。2020/05/01
NAOAMI
15
認知症老人を抱える養護施設で民俗学を研究する千夏が入居者らとの対話から謎の言葉「おろんくち」にぶち当たる。それが何で何を示すのか。実際の現場でのセオリーに嵌まらない彼女の開けっ広げな対面トークと、老人たちの想い出をビジュアル化できる特殊技能を用いて、完全に呆けた?と思われてた老人たちから「まともな」話を聞きだしていく。リアルじゃそうはいかんだろと、うますぎな面もあるが、定型介護への問題も浮き上がる。親との関係から心を閉ざす高校生君も絡み、果ては重大犯罪の解決に。分厚く重ねたネタは良かったがやや強引な展開。2019/11/06
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