内容説明
『若冲』『落花』等で注目の歴史小説家、
澤田瞳子の原点
デビュー作にして
中山義秀文学賞受賞作
『孤鷹の天』で描かれた
奈良の世に生きる人々の姿を
活写した傑作集!
【三省堂書店有楽町店 内田 剛氏絶賛!】
本作から澤田文学に触れた読者は極めてラッキーだ。
この著者のエッセンスと最大長所を余すところなく
知ることができるからだ。
歴史ものを書かせたらいま最も信頼のおける
書き手と言っても差し支えないだろう。
(解説より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
79
澤田さんらしく歴史の蘊蓄の詰まった、5つの作品の収められた短編集だった。舞台はいずれの話も奈良時代。それぞれに関連は特になく独立した物語になっているが、その時代に入り込んだような感覚にさせてくれるものだった。表題作は薬師寺別当に配流された道鏡を主人公とした悲哀に満ちた話。「凱風の島」と「南海の桃李」は、鑑真も登場し、遣唐使を題材としている。他にも市井の学生を扱った作品もありバラエティーに富んでいる。短い作品の中に史実が詰め込まれているので、知識がないと混乱する部分もあるが、いずれも良く出来た作品集だった。2019/11/02
まこみん
67
火定、月人壮士と同じ澤田さんならではの奈良(寧楽)時代の短編集。人名や地名も読みにくく、話に乗れる迄じっくり…だけど慣れるとどんどん進める。何より教科書的な無味乾燥な事柄が、時代を遡って登場人物の思いや営みが生き生きと甦る。遣唐使は人生を掛けた航海。流され大破したりの危険と悲喜こもごもの数十年ごとの派遣。亡き親友と南海の島々に石碑を建てる約束をした吉備真備。だが石の碑は一つも無く朽果てた木片があるだけ。現地へ赴いた真備は。大学寮での少年達の熱い喧嘩は権力闘争に寄って思わぬ悲劇へ。孤鷹の天も読みたくなった。2020/01/03
ちゃとら
55
久しぶりの澤田瞳子さん。奈良時代の家柄、出世、妬み嫉み、呪詛ドロドロ満載、5話の短編集。中でも「夏芒の庭」は親達の因果で大学寮で起こる悲劇が切なかった。「秋萩の散る」は孝謙天皇亡き後の道鏡の話。「誰を呪いたいのか」苦しむ道鏡は、とても純粋に描かれていた。ギュッと詰まった面白い本だった。2024/04/06
kawa
31
沢田さんお得意の奈良時代もの短編5編。(珍し?) 遣唐使の苦難を扱う「凱風の島」「南海の桃李」が楽しめる。特に後者は、難破した船の助けに南海の島々に案内碑を設置の話し。知らなかった歴史のヒトコマをが知れて興味深い。表題作は、没落し下野に流された道鏡の心境を新解釈で描く。メーターの皆さんのレビューによると直木賞受賞の「孤鷹の天」のスピンオフ短編集とのこと。そちらもいずれ手に取ろう。2025/07/01
rosetta
30
これも『比ぶ者なき』の感想を読んでいて見つけた本。奈良時代を舞台に五つの短編。沖縄で日本に帰る遣唐使の風待ちをする阿倍仲麻呂、鑑真。遣唐使船の道標となる石碑を島々に建てようとする吉備真備と高橋連牛養。奈良麻呂の変に巻き込まれた大学寮の学生達。首天皇のご落胤と名乗る従兄弟に当たる男に訪ねて来られた石上宅嗣。阿部天皇の崩御後に下野に流された小心者で野心も持たなかった道鏡。そう言えば教科書で名前を見たような、と言う人物達が確かに生きていたと思わせるような筆致。時代の風物を見事に取り入れた存在感。2020/11/16
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