内容説明
名前も年齢も住所もまったく違うのに、言動や身ごなし、癖に奇妙な共通点がある。彼らは「チェーン・ピープル」と呼ばれ、定められた人格「平田昌三マニュアル」に則り、日々、平田昌三的であることを目指し、自らを律しながら暮らしているのだ。『となり町戦争』の著者が描く、いまこの世界にある6つの危機の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
87
★★★☆☆21031【チェーン・ピープル (三崎 亜記さん)k】①たしかに何ちゃらマンと怪獣が街の中でドタバタしたら近隣住宅全半壊だ。三十年ローンで買った家が〜!と。敵が単独で暴れるてるよりも正義の味方が戦うことによる被害の方が大きかったとは。②自叙伝じゃなくて似叙伝ですか。自叙伝を他人に創作してもらう?③チェーン店じゃなくてチェーンピープルですか。④心の中にだけある国の地図。普通の概念では理解不能⑤ゆるキャラの中に人などいない。さて、裸の王様の様に着ぐるみが見えないゆるキャラとは?⑥応援、諸刃の剣だ。2021/04/04
Mumiu
27
事象は一つ、接する人の数だけの真実ができあがるという短編集。結構笑えないはなし。ほんとうに怖いモノは妖とかよりもごく身近にあるんだよね。2021/03/09
tokko
20
日常の中の非日常というか、普段先入観にとらわれて見逃している「何か」にスポットライトを当てて「そういう世界」を描くのが上手でした。何となくわからない世界のままで突き放してもらってもよかったのかなぁ、少し「ここはこういうことなんだよ」と説明しすぎている気がしました。もちろんわからないままのことはたくさん残しているんだけど、もっと寓意性に満ちた物語の方が好みです。2020/02/24
kei@名古屋
15
またも奇妙な世界に連れて行かれました。三崎さんはやっぱり面白い、文章だから作れる世界観を描かせたら本当に面白い!だけど人には勧めない。私だけの世界。という感じです。本当に空想の世界は無限の広がりを感じます。2019/11/27
みやび
14
各6章からなりそれぞれ6人の人物にスポットをあてた短編集。中でも「正義の味方」「ぬまっチ」「応援」は大衆の力や間違った正義の押し付けが怖くなる。自分が正しいと思ってやる行動は人をどこまでも盲目に強くさせてしまう。それが大勢集まった時、その大きな波は誰にも止められない。人の数だけ正義はあり反対から見れば悪になる。正義は多角的で捉え方によって変わる。日々新しい便利なツールやシステムが開発されてそれはいい事だけどでも失ってきたものも必ずあるはずで。三崎亜記さんの小説を読むと立ち止まって考えるきっかけになる。2022/11/23