内容説明
大人のたしなみ、心を豊かにする方法など、旅は生きていくうえで大切なことを教えてくれる。そして旅は、思いがけない出会いに満ちている――。本書は、十代で旅行会社の添乗員になり、その後、様々な職業を経て直木賞作家になった山本一力氏が、旅を通して学んだことを開陳する人生論。人気作家になった今でも、日本、アメリカ、中国などを旅しながら各地で時代小説を書いている著者だが、旅先ではトラブルがつきもの。先進国でも、停電や温水が出ないことは、たびたびある。そんな「事件」を乗り越えるたびに人生の引き出しが増えていったという著者。若い頃の失敗談には心が温まるし、なにより著者が足を運び、運命的な出会いを果たした場所へ行ってみたいと思わせる何かがある。作家のホンネや創作秘話も散りばめられているが、生き方について考えさせられる、一力節満載のエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シャコタンブルー
32
映画好きの作者はどんでん返しの名作映画として「太陽がいっぱい」のラストシーンの衝撃を上げている。あの衝撃は凄かったが、私自身は「猿の惑星」のラストシーンのどんでん返しが一番印象に残って、未だあれ以上の衝撃には出会っていない。「ハドソン川の奇跡」「ウェストサイドストーリー」等映画への情熱が伝わってくる旅のレポートでフィラデルフィア美術館での「ロッキー」ポーズの場面には拍手。ロッキーファンなら誰しも賛同する。食のレポートも味わいがあり、作り手への温かい眼差しが感じられ、どれもこれも美味しそうな店ばかりだった。2019/11/26
newman
14
「旅に費やす時間とカネを惜しむのは、生きることを惜しむに等しい」とありました。ワクワクしながら旅を楽しんでいるのが伝わって来ました。でも一番心に響いたのは1951年のサンフランシスコ講和会議でのセイロンのジャヤワルダナ氏の演説。「日本の掲げた理想に、独立を望むアジアの人々が共感を覚えたことを忘れないでほしい」「憎悪は憎悪によって止むことはなく、慈愛によって止む」「セイロンは日本に賠償を求めない」この演説の前までは、ドイツや朝鮮と同様に日本も分割統治すべきとの考え方が一変し、日本は独立国として承認された。2020/01/07
Naoko Takemoto
9
山本一力びいきの時代小説ファンが多いので滅多なことは言えないが、文字数制限課せられて何を言いたいのか分からなくなってるパターン?と思った。思ったとおり会員誌の旅エッセイを集めたもの。時代小説の旗手はアメリカびいきのようで、高卒で旅行代理店に就職した苦労があって旅を大いに楽しめる今があるのはわかるが、ネタが濃いのに文字数制限で説明がおざなりになって、いきなり感情が入るので何を言いたいのかわからない編が多かった。2019/11/12
こすもす
6
上級者の旅、ですね❗2019/12/22
ひさか
4
一般社団法人 日本ホテル協会刊Hotel Review2014年12月号〜2019年3・4月号掲載の32のエッセイと、トヨタファイナンス株式会社刊Harmony2017年5・6月号〜2019年3・4月号掲載の6つのエッセイを2019年10月PHP研究所から刊行。山本さんが添乗員をされていた時代から現在に至るまでの旅にまつわるエッセイ。人、場所、物との良い出会いの話が多く、特にトヨタのヤリスの話が面白かった。楽しめました。2020/09/03