内容説明
七代目市川團十郎vs悪の奉行・鳥居耀蔵。積もり積もった100万両をめぐる史上最大の騙し合いが始まる! 天保十四年十一月。七代目市川團十郎は、自分を捕縛し江戸から追放した南町奉行・鳥居耀蔵を討つべく、息を潜めてその時を待っていた。絶好の機会が訪れ、短刀を抜いたその瞬間、何者かの拳をくらい気絶してしまう……。それが、父・矢部定謙を無実の罪で陥れられ、同じく鳥居への復讐に燃える鶴松との出会いだった。聞けば、鶴松は別の方法で鳥居に復讐しようとしていた。なんと、鳥居が富くじの裏で溜め込んだ、100万両を根こそぎ奪おうというのだ。果たしてその方法とは!? 『1985年の奇跡』『リカ』の著者が、『安政五年の大脱走』『相棒』に続いて贈る、一気読み必至の歴史エンタテインメント。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
329
「柝の音」の大序に始まり、各章のタイトルを歌舞伎の外題とし、事が全て終わった後日譚として「閉幕」を置く構成はなかなかに気が利いたもの。ただ、内容と外題とが有機的な関連を持つのは「勧進帳」くらいだが。登場人物の中では、大向こうを唸らせる名演技の七代目團十郎が断然光るが、他の人物たちもそれぞれに個性的。また、プロットはあちらこちらと都合が良過ぎる展開に支えられているのだが、野暮なことは言わずに、エンターテインメント小説と割り切れば十分に楽しめる。千両富の狂騒が江戸の街を駆け巡る小説。2023/03/25
初美マリン
118
正にキャリーオーバー!憎き鳥居耀蔵は、不正の陰富をやっていて、なんとかしたいと何人か立ち上がる。なかなか進まずますます鳥居が憎くなったころ、ようやく胸がすく!2020/02/24
ダミアン4号
66
江戸後期、老中:水野忠邦の命を受け天保の改革が行われた頃、彼の配下で粛清の豪腕を振るった鳥居耀蔵。権謀術中を巡らし、政敵を次々と陥れ…やがては忠邦をも裏切って南町奉行という要職に上り詰める。市中の取り締まりは苛烈を極め人は彼を“蝮”“妖怪”と仇名し忌み嫌った。大衆娯楽の大部分を禁じた改革で役者、講談師、戯作者等は職を失い…そんな中、唯一の娯楽だったのが寺社主宰の“富籤(宝くじ)”!その富籤を使って秘密裏に私腹を肥やす耀蔵…秘密を知った前南町奉行:矢部定謙の養子“鶴松”と七代目“團十郎”、二代目“談志”らが2019/12/13
雅
58
蝮、妖怪と言われる鳥居耀蔵を相手にチームを組んで1発かましてやろうとする。善と悪がハッキリしていて読みやすく、終盤は早く結末が知りたくて一気読み。2019/10/16
kei302
46
当りくじの番号?が決まる日が最高に盛り上がって面白かった。前半は主な登場人物の背景をつかむだけでOK。 解説等、すっ飛ばして読んでも十分堪能できる。なるほど、キャリーオーバーね。ため込んだお金の使い方に納得。2019/10/24