講談社学術文庫<br> 脳とクオリア なぜ脳に心が生まれるのか

個数:1
紙書籍版価格
¥1,980
  • 電子書籍
  • Reader

講談社学術文庫
脳とクオリア なぜ脳に心が生まれるのか

  • 著者名:茂木健一郎【著】
  • 価格 ¥1,705(本体¥1,550)
  • 講談社(2019/10発売)
  • ポイント 15pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065176658

ファイル: /

内容説明

『脳とクオリア』に書かれていることは、それなりにオリジナルなことだと信じている。刊行から二十年以上が経った今でも、類書はあまりない。内容も古くなっていない。それは、本書の価値であると同時に、意識研究、より広く言えば脳科学研究、さらには人工知能研究の現状を示しているとも言える。――「文庫版へのあとがき」より*私たちの心の中で起こっていることは、すべてニューロンの発火である。これが、恐ろしく複雑な分子機械である脳の、単純な作動原理でもある。しかし、ニューロンがシナプス結合を通して、お互いに複雑に影響し合うことによって、私たちの心の中には、熱帯雨林の生態系のような豊かなクオリア(質感)が生じる。クオリアが多彩で、柔軟性に富んでいるということは、そのまま私たちの脳の中の情報処理の多彩さ、柔軟性の反映なのである。そして、この一つ一つのクオリアを、私たちの心は、他とは混同しようのない個性をもったものとして捉えている。つまり、私たちが感覚をとおして世界を認識するということは、クオリアの自己同一性を通して世界を認識するということである。クオリアという質的表現が、数字や量による表現とは比べ物にならないくらいの多様なものを感覚し、認識することを助けているのだ。自然科学としての「因果的自然」と、クオリアが表す「感覚的自然」――すなわち「脳」と「心」は、どのように結ばれるのか? 「クオリア」という感覚的自然にとっては自明な属性は、因果的自然と、どう結びつけることができるのか? 私が私であることの不思議、意識の謎に正面から挑む、科学者の主著!

目次

序章 「心」と「脳」を「クオリア」が結ぶ
第1章 認識は「私」の一部である
第2章 「反応選択性」と「認識におけるマッハの原理」
第3章 認識の要素
第4章 相互作用同時性の原理
第5章 最大の謎「クオリア」
第6章 「意識」を定義する
第7章 「理解」するということはどういうことか?
第8章 新しい情報の概念
第9章 生と死と私
第10章 私は「自由」なのか?
終 章 心と脳の関係を求めて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かば

20
自由意志の有無に究極真理の片鱗を見出そうとする悩める旅人たちにぜひともお勧めしたい一冊。たしかに近年の著者のSNS周りにおける奇行を横目にしてきた人々は何となく胡散臭い似非科学者というレッテルで忌避する気持ちも大変わかる。しかし、この著書に現れているのは、若人が世界という大海原に向かって科学という武器を手に真摯に対峙しようとする大きな意志を感じさせられるのだ。食わず嫌いはよろしくないぞ。2019/11/16

踊る猫

18
瑞々しさを感じる。あるいは若々しさと言ってもいいかもしれない。この本は茂木が若かりし頃、まだマイナーな学者だった頃世に問うた一冊だがそうした事情だけがそんな印象の原因というわけではないだろう。茂木はクオリア、つまり世界の質感に対して抱いた驚きとショックをそのままピュアな心で受け留め、そこから研究を始めた人間だったのだと思う。良かれ悪しかれ、そうした驚きをダイレクトに受け留めてしまった人間、そうしたある種の呪われた概念を真っ向から引き受けようとする人間だからこそ書ける力作であると思われる。哲学的にも楽しめる2022/07/10

那由田 忠

14
この時点でのAIと現在のAIでは能力がかなり違う。クオリアの獲得はないとしても、無数の文書からクオリアに関する情報を得て似たものを得ているようだ。少なくとも一般人にわからないくらいの対話ができる。ややこしい時代となってしまった。2025/03/04

ミズグ

6
読みきった。 これを読まないと筆者の本質はわかり得ない。2020/01/22

しみそー

5
茂木健一郎すごい! 昨今のTwitterのあれこれとかいう前にこれを読んだほうがはるかに著者のことがわかる。食わず嫌いは良くないね…■相互作用同時性の原理から、意識の固有時における「瞬間」が物理空間の時間(相対論的時空における固有時)においては幅を持ちうるという議論は面白すぎて、叫びながら読んだ。そこから興奮性のニューロンの相互結合をしている部位を「意識」の脳内の空間範囲だと説明する。説としてすさまじく面白い。■クオリアってめっちゃ大事じゃないかと思った。クオリアについて考えたい人必読。(コメントに補足)2021/08/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/14423511
  • ご注意事項

最近チェックした商品