講談社学術文庫<br> 東京のヤミ市

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講談社学術文庫
東京のヤミ市

  • 著者名:松平誠【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 講談社(2019/10発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065171158

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内容説明

新宿、渋谷、新橋、池袋、上野……焼け跡となった街に、ふたたび人とモノがあつまり、立ち上げられたマーケット。「戦後東京」の原風景を形づくったと語られ、いまや歴史の中に霞みつつあるヤミ市とは、いったい何だったのか。食べるものも着るものも「あるべきところにあるべきものがない」敗戦直後、人々は統制経済の網の目をかいくぐり、生きるための商いを、そこで営んだ。ゴザの上に芋を並べた露店は、やがて電気ガス水道をそなえた商店となり、カストリと焼き鳥の飲み屋ができ、ありとあらゆる雑貨が流れ込んでゆく。そうして日々の暮らしを立て直そうとする庶民たちの「復興」は、テキ屋たちのプロデュースにより加速され、巨大な盛り場を生み出していった。丹念なフィールドワークにより都市生活文化の探究を続けてきた著者が、ヤミ市のリアルな姿を蘇らせる!【本書の内容】第一章 望遠レンズでみるヤミ市 バルーンに乗って一九四七年の東京探訪/新宿はヤミ市のターミナル/渋谷―エネルギッシュな三角地帯/新橋―巨大など呑み屋街/銀座・有楽町―ヤミ市のできない都心/上野広小路―アメ横の母体/池袋―ボランタリーチェーンの理想と現実  第二章 覗きこむヤミ市 ヤミ市建築の変化―ヨシズ・バラック・マーケット/ヤミ市の地域・建築設計―新宿/ヤミ市建築の豪華版―新橋「新生マーケット」/ヤミ市の店舗建築とディスプレイ1―昼のマーケット/ヤミ市の店舗建築とディスプレイ2―バラック長屋の飲食店街/ヤミ市の店舗建築とディスプレイ3―三階建ての夜の街/インフラストラクチャーの構築  第三章 ヤミ市にひしめく人びと 第一世代の出自/初期ヤミ市商人からの脱却/ヤミ市地下活動へ/ヤミのプロ商人/ヤミ市を生き抜く 第四章 ヤミ市料理のレシピ 「国際的なメニュー」の登場―配給では食べられない時代/洋食編/韓国・朝鮮料理編/和食編/中華料理編/ドリンク編/デザート編 第五章 太陽の下のヤミ市 ブティック/荒物屋/日用雑貨・化粧品屋/パチンコ屋/生鮮食料品店/電気器具店 第六章 新宿ヤミ市・夜のシナリオ 夜のマーケット・それぞれの風景/酒場の作法 第七章 新焼け跡再興のプロデューサー テキ屋と焼け跡商売/「組」型経営管理法/東京のカポネ/土地をめぐるヤミ市の論理 第八章 ヤミ市の生活文化論 ヤミ市文化の闇/ヤミ市の産んだ食文化/ヤミ市パチンコ屋を逆照射する/カラオケと軍歌の相似性/ヤミ市の時代を駆け抜けて 主要参考文献 ヤミ市年表 ヤミ市キーワード集

目次

第一章 望遠レンズでみるヤミ市
第二章 覗きこむヤミ市
第三章 ヤミ市にひしめく人びと
第四章 ヤミ市料理のレシピ
第五章 太陽の下のヤミ市
第六章 新宿ヤミ市・夜のシナリオ
第七章 新焼け跡再興のプロデューサー
第八章 ヤミ市の生活文化論
ヤミ市年表
ヤミ市キーワード集

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

64
ヤミ市というと戦後の猥雑な活気が奇妙な郷愁と共に連想される。本書はそんなヤミ市を場所や売り物、行きかう人等を解説した一冊。戦後から五年ほど隆盛を極め、その後急速に消滅した様は戦後の徒花というに相応しいな。以前ヤミ市を利用する事を是とせず餓死した法曹関係者がいた。という話を聞いたことがあるけど、本書を読むと必要悪であると同時に権力が回復してくると同時に追いやられる理由も何となく見えてくる気もする。あと実際の活動を描いた部分は妙に明るそうで、楽しげであると同時に人間の逞しさも表していて本書中でも白眉だと思う。2020/02/23

100

54
戦後の物価統制の時代に隆盛したヤミ市とその活気と渾沌は、餓え・渇望・矛盾・放心からの浮上にもがく人々の生の表出。パチンコ屋のBGMが軍艦マーチなのはパチンコがヤミ市で生まれた事にルーツがあったり、大手商社の関連会社がヤミ物資に関係していたり、昭和が戦争の時代だった事を感じる。2024/08/03

ホークス

44
東京で終戦から数年間栄えたヤミ市の研究。詳細で分かりやすい。自動車輸送の壊滅で、ヤミ市は鉄道駅周辺にできた。農作物や魚を売る上野と、飲み屋街の渋谷が典型。窮乏と爆撃の後、全国で630万人の引き揚げ者と280万人の復員兵が無一物で帰還。東京はサバイバル空間と化す。「みんなと同じにしていれば安心」な者と、「同じにしていたら助からない。或いは疎外される」者の命がけの争い。マジョリティとマイノリティの間で今も続く。テキ屋の「親分子分関係」は、企業やスポーツ界の鉄則として継承される。ヤミ市的なものは日本人の中にある2020/08/28

ゲオルギオ・ハーン

33
終戦直後の東京のヤミ市について資料の他に実地観察やインタビューも含めて収集した情報をまとめた一冊。戦後史でもあまり触れられないけど本当に物がなかった、政府による強い価格統制があった期間で当時の人々は苦労されたと思う。興味深いのは食文化のところ、ヤミ市には居酒屋や寿司屋、そば屋など割とさまざまな食事処があったようだけど、今では想像できないようなレシピで作られている。シャリはおからの寿司、キャベツで水増ししまくった焼きそば(麺は1/3玉)、そしてお酒はカストリ。現代の食事に思わず感謝してしまう内容です。2021/11/01

かんちゃん

19
戦後、渋谷・新宿・新橋などで急激に栄え、その後忽然と姿を消したヤミ市に迫る。半ば公然と存在しながらも、実像ははっきりしない。戦前からのテキ屋の親分らが混乱期の日本を支えたことはどうやら間違いなさそうだ。著者が言うように、閉塞感に包まれ将来展望を描けないという意味では、敗戦直後の日本は現代の日本に似ている。華やかな打上げ花火を庶民は待望し、その破裂音と閃光に幻惑される。社会の安定と共にヤミ市が姿を消したように、欧米型資本主義はゴーン、ゴーンと鳴り響く除夜の鐘と共に終わりを迎えつつあるのかもしれない。2020/01/13

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