内容説明
至極のエッセイ45本に加え、文庫版の「おまけ」9本&「あとがき」を収録。あなたの心の中でうごめく「曖昧な感情」に、「曖昧なまま」そっと寄り添ってくれる沢山の言葉たち―最果タヒ初のエッセイ集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
69
「やさしさの才能」という言葉に惹かれた。「やさしさ」を発揮するのも才能なんだなぁ。2019/09/12
サンタマリア
59
彼女の思ったことや書いていくうちに膨れ上がった感情が煮詰められている訳でもないのに(ないからこそ)100パーセントの純度で綴られていて、強く心を打つこともあればつまらないと感じることもあった。読みながら僕の過去を振り返ったりもしてみたけど、轍は風やほこりや年月で風化して、汽笛のように叫んでいた感情は街や記憶のどこにも反響していなかったし、命を燃やして繰り出していた蒸気はとっくの昔に空に溶けていた。仕方がないので前を見ようと思った。「言葉は簡単に、すべてを簡略化して、まったく違うものにしてしまう」2021/06/30
ホークス
52
元本は2016年刊。詩人のエッセイ。新鮮な言葉に衝撃を受けた。心の中の、私には行けない地点まで著者は思索を進める。傲慢じゃなく痛々しくないのがありがたい。知らない人の記憶でも、写真という形で目にした瞬間、自分が忘れてしまっていた過去に触れた心地になるという話。思わず膝を打った。人類共通で嫌いな食べ物に対して容赦なく、理不尽なほど否定するという話は、変なんだけど真理。攻撃的な人、自分を守ろうとしない人が「本物」みたいに見えるのは何故か?という問いは難しい。読後に単行本を読んでいた事が判明。でもまた読もう。2023/05/14
neimu
49
自分が小学生高学年からハイティーンだったら憧れたかもしれない。さすがにこの年齢で読んで感動するわけではない。思い当たるる節はあっても、表現の仕方が違うと言うか、時代もあるけれど、そう、若さ、若さゆえに書ける文章。吐ける愚痴、悪態、照れ隠しの乱雑さ、つっぱり感、いや、懐かしくさえある。しかし、今、気合いをいれて読むべきものではないなあ。帯に4人もの推薦文が書かれているのもビックリした。河出書房の好み、テコ入れ本なんだろうかと勘ぐってしまう。ブログ系の文章、なるほどね。若さで書き散らす姿勢が娘と重なる。2023/10/06
さおり
42
大好きな岸本佐知子さんが帯に推薦文を書いてて、それにつられて買いました。最果タヒさん初エッセイ集。数年前に川上未映子さんが書いたエッセイを読んだときと同じくらい、よくわからなかったです。ただ、タヒさんは共感されることを望んでいない様子なので、楽しみ方としてこれで合ってるのかなとも思う。楽しめたかどうかがあやしいところだけれど。結局、岸本さんが書いた帯の一文が一番良かった。そのために買って良かったと思うくらいに。2019/12/05