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内容説明
世界の果てに発見! こんなところに中国人。
中国本土14億人。世界の華人6000万人。中国人観光客1.5億人。分け入っても分け入っても中国人はそこにいる――。では彼らはその地に何をもたらしたか。ケニア、ルワンダ、カナダ、NY、タイ。大宅賞作家がもっと分け入る!
◎主な内容
アフリカど真ん中に出現した「紅い帝国」――ルワンダ・キガリ
“中華鉄道”で味わうサバンナ紀行――ケニア・ナイロビ
秘密結社チャイニーズ・フリーメイソンを直撃!――カナダ・バンクーバー
中国農村版マッドマックス――広東省掲揚郊外
元ニート、中国一の恐竜博士になる――北京
民主活動家のアジア潜行2000日――タイ・バンコク
国際指名手配・郭文貴、かく語りき――アメリカ・ニューヨーク
世界に広がる「中華システム」を炙り出す弾丸ルポルタージュ7連発!
(2019年10月発行作品)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
53
こちらも手に取ったがますます守備範囲が広がっており、タイからルワンダ、バンクーバーからニューヨークへと足を伸ばしながら、その地で(様々な事情から)暮らしている中国人や関係者に話を聴いている。中には中国当局から睨まれている人もおり、トランプ1期目でその参謀だったバノンとつながる人物まで登場。そんな中、中国の恐竜博士の話にはほっこりさせられた。この著者は中国のことが大好きだということが滲み出ており、かつ媚びへつらうこともなくおかしいことは容赦なく批判もする。現場主義的なアプローチも素晴らしい。他書も読みたい。2025/04/27
kan
24
取材力が高く面白かった!特にアフリカでの中国のプレゼンスと、洪門の話が面白かった。先日ルワンダ虐殺とその後を調べていたので、アップデートが興味深い。中国のルワンダへの接近はカンボジアへのそれと似ていて、進出政策とタイミング、国民の気質分析などビジネスの場として強かに入り込むスキルに舌を巻く。ミャンマー国境のシャン州やワ州は、高野秀行さんの著書でもおなじみの場所でドキドキしながら想像をめぐらした。元政商で大富豪の暴露系YouTuber、中国スパイ疑惑もある郭文貴とのやり取りは映画のようで読み応えがあった。2025/05/17
Katsuto Yoshinaga
12
さらに続けて安田峰俊の中共ルポを読む。本作は千葉県山武市の国道沿いの中華料理店から始まり、ルワンダ、ケニア、カナダ、広東省、北京、バンコク、ニューヨークと中共人の侵蝕具合がルポされている。アフリカへの食い込み具合に、カナダの一大勢力となった華人社会、博士となった広東の恐竜オタク少年、コーカン自治区からミャンマー、ラオスを経てバンコクへ逃亡した民主活動家etc.の7章立てで、前作同様に全てが面白おかしい。政治的な発言もたっぷりながら、非政治的な部分では笑わせてくれる。今のところ、安田峰俊にハズレなし。2025/04/07
雲をみるひと
12
中国人、中国系の近況のルポ。各章が独立した章立て構成となっている。シリーズ2作目だが、今回は現象より人物にフォーカスされた章が多い。だからか、各章にストーリーがあり読みやすい。2020/01/10
羊山羊
11
著者の好奇心と問題意識が炸裂する1冊。アフリカと中国の親和性は地味に凄く大事だし、郭文貴の章の微妙に孕む緊張感にゾクゾクさせられる。全体的に朗らかでリーダビリティに富みながらもひっそり挿し込む問題意識にハッとさせられる。その結晶が、前書きで書く「さいはて」のフロンティアと、後書きの「さいはて」の地への呟きなのである。この2つの「さいはて」に、無邪気な好奇心と言い知れぬ重さの全く違う2つの意味がジワリと浮かぶのだ。大満足。2021/07/13