中公文庫<br> 人口論

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中公文庫
人口論

  • ISBN:9784122067622

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内容説明

人口は等比級数的に増加するが、食糧は等差級数的にしか増加しない――。
人口急増期を迎え、人口増こそ富める国の証しとされた18世紀ヨーロッパで、その負の側面に切り込んだマルサス。
ケインズが「若々しい天才の作品」と評した論争の書は、今なお人口問題を考えるうえで多くの示唆に富む。
〈解説〉藤原辰史

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Bashlier

11
5/5 今こそ再評価されるべき作品。超圧縮しますと、”パンは一定の速度でしか増えない。これより早く人口が増えると貧窮が生まれる。慈善活動で支援しても貧窮は消せない。”という主張。一方、その後産業革命で食料の生産効率が急増した結果、マルサスの予言は外れた、という評価が主流になっています。しかし!エネルギー・農薬多消費型の農業には環境負荷という問題が出てきており、限界を迎えつつあります。欧州と比較して過度に過密な日本。環境経済への移行期に、彼の主張は重要な指針になるのではないでしょうか。2023/03/08

そ吉

3
マルサスは人口は等比級数的に増加し、食料は等差級数的にしか増加しない、ここに貧困の原因が有ると述べている。勿論この論は収穫低減の法則や分配について触れられているものでないが、マルサスは救貧法は人口抑制を攪乱すると述べる事で無秩序な分配については批判している。また、人口抑制と精神性(抑制的性衝動)にて論じているがこの点はキリスト教的史観が多分にあるのだろう。200年前の古典であり現代からは所々ズレてる点もあるが貧困や公衆衛生を考察するときにマルサスの人口論は嚆矢となる書物の一つだろう。★★★☆☆2021/11/29

Jack Amano

2
マルサスは、人口は等比級数的に増大し、生活資料(食料など)は等差級数的にしか増えないとし、過剰人口の問題の弊害や解決策について述べている。彼は、遊休耕作地が沢山ある中で、それが生かされず、不要不急の非生産的なモノの生産に労働者が携わっていることが問題であると考え、耕作地を与えて農業労働をさせるべきであるとも考えていたようだ。19世紀の人口過剰問題に関しては、人類は問題を乗り越えた(やり過ごした?)が、今まさに、人口爆発が起きている中で、大量の食料品の廃棄と飢餓が世界では同時に起きている。現代の問題。2022/08/13

ミスター

2
面白い。極めて単純だが奥が深い。人が増えて生産人口が増えたとしても消費する主体としては成り立たないし、生産しても消費する主体がいないのだとしたら、けっきょく不況になる。マルサスの主張はいっけん極端に見えるが極めて納得がいく話だと思う。あと理想主義ゴドウィンに対する批判は今でも顧みる必要があるだろう。社会制度を変えたところで悪徳はなくならない。むしろ悪徳をなくすことは社会の問題を大きくするだけである。なによりも雇用される側である労働者という階層は絶対になくならない。マルサスはフーコーに通じる思想家だろう2020/09/19

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