内容説明
ウケるプレゼンをしたい。斬新な企画を考えたい。人の心をつかみたい。誰もがそう思うけれども、そう簡単にはいかないもの。どうすれば「面白い」と思ってもらえるのか。ポイントはどこにあるのか。「安易な共感を狙うな」「アイデアは蓄積から生まれる」「人と会う前に学習せよ」――長年、ひたすら「面白い」を追求してきた著者がそのノウハウ、発想法を惜しげもなく披露した全く新しいアウトプット論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
322
NHKで数々のユニークな番組をつくってきた佐々木健一が、「面白い」とは何だろう? を突き詰め、制作の極意を惜しげもなく明かした1冊。全編が金言集のようで、期待通りだった。最近のテレビに充満する「密着信仰」。一定期間、密着しさえすれば良いドキュメンタリーが撮れる、と思っていまいか? ”密着しない”ことを条件に制作した「冤罪弁護人」の話など、具体例が豊富で説得力があり、ストンと腑に落ちる。 お薦め本だった。2023/06/11
けんとまん1007
52
面白い!と思うのは、ギャップがあるから・・なるほど。ふと思ったのは、面白いにも二通りあるのかなということ。ここで述べられているように、ギャップがあっての面白い!!というのが一つ。もう一つは、定番に近く、予想通りの面白さという軽めのもの。本当に思わせるのであれば、事前の準備とストーリーが必要だということで、これは、いろんな場面にも当てはまる。2020/06/23
ホークス
48
2019年刊。NHKのドキュメンタリー制作者による仕事論。現場の話が満載。面白い番組を作るには、雑学も含めてよく勉強し、テーマを煮詰める力を付ける事。地味な取材も徹底して行い、問題の本質を探る事。思いつきでテーマを決めたり、結論ありきで恣意的に作るのはNG。撮影やナレーションも、本質を伝える工夫が必須。準備も手を抜くと失敗する。本書は作家性のある仕事向けだが、組織として取り組めたら競争力になる。本質についての議論、意思決定、教育などの課題は、「皆で仲良く責任回避」という日本の組織風土には良い薬だろう。2020/09/20
ま
41
面白いとは、差異と共感。つまり、何らかの差異によって相手に新たな気づきを与え、モノの見方を広げ、それまで異質と捉えていたものを許容し、より深い共感へと導くこと。クオリティとは情報量。NHKの番組ディレクターならではの視点でためになる。聞き手の態度で話し手の対応も変わってしまう「合わせ鏡の法則」も心に留めたい。2023/05/30
TakaUP48
40
業界の”当たり前常識”を疑え!見えなかった本質が浮かび上がる。「面白い」とは、自分の予想を裏切る刺激や変化の””差異”と期待通りだった時に抱く感覚”共感”の両輪。アイデアは、既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもなく、良いものは制約と必然性から産出。取材(学び)の基本は「合わせ鏡の法則」、結局問われているのは自分。「演出」なくして面白いは生まれない。映像の切り方も演出。「構成」で面白いは一変。ドキュメンタリーも演出はある。制作現場を無視する日本の放送業界は問題だ。いつの間にか見てしまった番組作りを!2020/08/02