内容説明
第三の“竹内ノートを求めて、男はルソン島へ――
戦没詩人、山下財宝、山岳民族、イスラム独立闘争……空っぽな日本人はそこで何を見たのか
注目の才能ミヤウチによる、展開予測不能の冒険小説!
第70回芸術選奨文部科学大臣賞新人賞受賞作・単行本バージョン
ぼくは、ぼくの手で、戰爭を、ぼくの戰爭がかきたい――そう書き残し、激戦地ルソン島で戦死した詩人・竹内浩三。彼は何を見、何を描いたのか?
テレビディレクターの職を捨て単身フィリピンに渡った須藤は、その足跡を辿りはじめた。だがその矢先、謎の西洋人男女に襲われ、山岳民族イフガオの娘ナイマに救われる。
かつて蹂躙された記憶を引き継ぎ日本人への反感を隠さないナイマだが、昔の恋人ハサンの実家を訪ねる道行きに、付添いとして須藤を伴うことに。
ミンダナオ島独立のために闘ったイスラム一族の家で一時の休息を得た須藤だったが、ハサンの家は秘密を抱えていた……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
194
宮内 悠介は、新作中心に読んでいる作家です。著者の新境地、冒険小説ということで読みました。タイトルや発想は面白そうでしたが、冒険小説としては今一、やはり宮内 悠介は、SFの方が良いのではないでしょうか?2019/09/26
みかん🍊
90
戦没詩人竹内ノートを求めて日本でのディレクターの職を捨てフィリピンにやってきた須藤はトレジャーハンターの男女に襲われ、以前会った村長とその娘に助けられるも娘と共にイスラム一族の元カレの家に同行する事になる、途中まではとても面白かったが過去の戦争の事を描きたかったのか、ファンタジーなのか恋愛ものなのか重いのか軽いのかとっちらかって後半いらなかったかな島を無事出てめでたしめでたしで終わって欲しかった気がする。キーパーソンの戦没詩人の竹内浩三が三重県伊勢市出身という事が収穫だった。2020/07/22
ずっきん
72
戦死した詩人の三冊目のノートを求めてフィリピンへやって来た元TVディレクター。トレジャーハンターに財閥のボンボン、ムスリムの独立運動、そして占いにもちろん超能力。万端な下調べの上にふわりと載せた宮内ワールド。飄々と繰り広げられる冒険活劇だけれど、実はテーマは重い。戦争という過去と現代、戦うってどういうことなのかじわりと染み込んでくる。さらりと、だがしっかりと爪痕を残していく。正直、著者の筆致や人物造形はそれほど好みじゃない。けれども、それを凌駕する独特の世界の構築と、物語の圧倒的な面白さ。もう大好きだ♪2019/11/25
keroppi
65
このストーリーとは関係ないが、40年程前にフィリピンに行ったとき、マニラの映画館で「インディ・ジョーンズ」をやっていて、看板に爆破される日の丸のついた飛行機が描かれていた。映画ではハーケンクロイツだ。そこに、日本が戦争中に何をやっていたのか想像し怖くなった記憶がある。この本を読みながらなぜかその光景が蘇ってきた。戦争と冒険が交錯する世界が、その記憶を呼び覚ましたのかもしれない。2019/10/21
とくけんちょ
56
フィリピン、ルソン島で戦死したとされる詩人竹内浩三を求めて元映像ディレクターがフィリピンを旅する。そこでは現地ならではの歴史的苦難や宗教問題などなど、あらゆる土台をもとにストーリーが展開する。中にはアクション映画さながら、SF?のようなシーンもあって、グッと引き込まれていきます。途中途中で詩が挿入されており、アクセントに。ただ盛りだくさんがゆえに、途中でストーリーの主体がボヤけて、これは何の話?となるところもある。2019/10/21
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