岩波新書<br> 漢の武帝

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岩波新書
漢の武帝

  • 著者名:吉川幸次郎
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 岩波書店(2019/09発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004130482

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内容説明

武帝の時代は中国史上最も輝かしい時代として伝えられている。武帝が十六歳の若さで帝位についた西紀前一四一年には、漢国は隆盛を誇り、国力は上昇の一途にあった。独裁君主として権力を握った武帝の闊達で積極的な性格を生きいきと描きながら、政治的文化的に偉大な足跡を中国各所に残した時代の空気を興味あふれる筆致で描く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Kentaro

24
中国では、一人の天子の在位中に、たびたび年号が変った。年号の創始者武帝も、五十五年という長い在位の間に、十度の改元をしている。うちはじめの六度は、六年ごとに年号を変えている。武帝のよわいは五十二歳、即位以来、すでに三十六年を経過していた。その生涯の第三期であるこの十二年の間に、今や完全な独裁者となった皇帝は、その欲望のつばさを四方にのばして、西域を開き、南越を平らげた。また欲望のつばさは、神秘の彼岸、不老不死の世界をもかけずりまわり、神秘の世界を現世にむすびつけるものとして、かずかずの大建築を行った。2024/02/14

無識者

11
漢の武帝の時代は、現実的な武力から学問・教養を大事にするようになる時代である。特に儒学は当時のもっとも文化的な思想であった。武帝以来、皇帝および役人は儒学をはじめとして、学問教養が求められるようになる。いくつかの面白いエピソードが紹介されておりそのエピソードから時代の性質が浮き彫りになる。2016/08/25

kk

10
漢の第五代皇帝・武帝の事績を紹介しつつ、中国史の中におけるその意味合いに迫ろうとする一冊。著者の透徹した視点と良くこなれた達意の文章には感嘆おくあたわざるものを覚えます。就中、終章で述べられる、中国古代における権威・権力・文化の関係に関する考察には、深く感じるところがありました。昭和24年の著作ですが、この時期のアカデミアの知的水準の高さや教養の深さといったものをつくづく実感させられました。2021/07/30

nori_y

6
生き生きと描かれる武帝とその周辺人物のやりとりや細かなエピソード、著者の武帝に対する率直な感情が大変興味深い。著者のむすびより「武帝の行為のあるものは、今から見ればずい分ばかばかしい。しかし大きな改革が行われるためには、はげしくはなやかにゆれうごく空気がなければならぬ。」昭和24年に発行された本書からは、つい違う文脈を探してしまう。2018/01/11

Koki Miyachi

5
中島敦の李陵を読んで、輝かしい時代を打ち立てた漢の武帝に興味を持った。初版1949年ながら定評のある武帝本。読み進むに従って一大歴史絵巻を見るかのようなイメージの広がりは、武帝の世の魅力と筆の力によるもの。秦の始皇帝が封建制度を打破して、中央集権制度を引いたが没後間もなく崩壊。武帝の曾祖父漢の高祖の帝国が興る。寛大な政治で文帝景帝と仁政が続き、武帝の代で花開く。儒教を基礎とした文化の主宰者であり、代表者であった。54年の在位中に成した事が、その後の中国の歴史、政治、文化の礎を築いた中国史の要諦だと知る。2012/12/31

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