山と溪谷社<br> ヤマケイ文庫 どくとるマンボウ青春の山

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山と溪谷社
ヤマケイ文庫 どくとるマンボウ青春の山

  • 著者名:北杜夫
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 山と溪谷社(2019/09発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784635048743

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内容説明

終戦の年、避けられぬ死への煩悶を抱きつつ訪れた憧れの上高地。
父との葛藤を胸に対峙した穂高岳。青春と自然を綴った北杜夫のエッセー選集。

昭和20年、昆虫や信州の自然への憧れから松本高校に入学した北杜夫は、
避けられぬ死への悲痛な思いを抱えながら上高地を訪れる。

その後、頑固で癇癪持ちの父でありながら、
歌人としては畏敬すべき存在であった斎藤茂吉との軋轢に悩み、
ひとり穂高岳と向かい合う。

この経験を、作家はのちに「まさしく私の青春そのもの」と記す。
また、1965年には、カラコルム遠征隊に参加、独特のユーモアを交えたエッセー、紀行文から
『白きたおやかな峰』の背景を読み取ることができる。

単行本未収録作品を含む、山のエッセー選集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hiro

57
どくとるマンボウこと北杜夫さんの山に関するエッセイ中心に、短歌と自伝的小説も加えたエッセイ選集。10代の頃ユーモア溢れる『どくとるマンボウ航海記』と出会って、北さんのエッセイの面白さにはまり、片っ端からマンボウ物のエッセイを読んだ。その北さんが亡くなれてもう11年も経つが、読メでこの本を知って、懐かしくなり購入した。いろいろな本から集めた選集のため、北さんの同じエピソードについて繰り返し登場するが、ユーモアある内容と、違う本でそれを何度も読んでいたためか、覚えていたものも多く大変懐かしく読むことができた。2022/02/27

♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤

42
北杜夫といえば、船乗りぷくぷくやどくとるマンボウから「海」というイメージ。だが、旧制松本高時代の上高地や穂高への登山やヒマラヤ遠征隊に医師としての参加から「山」も好まれていたのを知った。本書は山登りや昆虫採集で訪れた自然など山に関するエッセイをまとめたもの。登山の装備も不十分でやっけもなく雨が降ると油紙をかぶったというのには驚いた。「山は美しく壮麗でわれわれの精神に何者かを与えてくれる。しかし、山は怖い。山の怖さを本当に知って、その上で慎重に謙虚に山に登ってほしいと願わずにはおれない」という言葉が印象的。2019/11/24

Shoji

40
北杜夫さんがかつて執筆した山に関する随筆や手記を集めたものです。「青春の山」とのタイトルですが、戦争時代が北杜夫さんの青春期と重なっており、やや戦争文学的な趣きも感じました。山歩きを趣味とする私にとっては楽しく読むことが出来ました。2020/05/15

gtn

26
山というより、昆虫に親しむため、敗戦の年、旧制松本高校に入学。将来生物学者を志望していたが、「おっかない」父茂吉から医者になれと命令され絶望する。そんな自分を救ったのは山だった。峠の頂上から穂高の偉容に触れ、神経衰弱が嘘のように消え去ったという。また、今まで興味がなかった父の歌集を手に取ることによって、父が権力者から崇拝の対象に変わる。ただ、著者のようなケースは異例。心底で父を受け入れたいという思いがあってこそ。親は、子の夢を決して摘むべきではない。2023/01/31

つちのこ

24
既読のエッセイが多いが、透明感溢れる瑞々しい文章は何度読んでも心が和む。本土決戦を前にした松高時代の終戦間際、死を漠然と予感しながらも徳本峠を越え上高地を彷徨うやるせなさは、読む側にとっても万感の思いが交錯する。『白きたおやかな峰』で描いたカラコルムディラン峰のエッセイはコックのメルバーンとの交流をユーモアで綴っており、一転して『どくとるマンボウ昆虫記』に収録された高山蝶や上高地の描写は清冽かつ抒情的。著者がもつ二面性の魅力が出ている。松高時代の歌集『寂光』は初心な純真さと青春の陰が表現されており秀逸。2021/11/08

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