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内容説明
経済学者シュンペーターは「資本主義の欠点は自ら批判されたいと願っている点だ」と述べた。批判すらも飲み込み自己変容を遂げていく「未完」の資本主義。とりわけ近年は、テクノロジーの劇的発展により、経済の形が変わり、様々な矛盾が噴出している。本書は、「テクノロジーは資本主義をどう変えるか」「我々は資本主義をどう『修正』するべきか」について、国際ジャーナリスト・大野和基氏が、世界の「知の巨人」7人に訊ねた論考集である。経済学、歴史学、人類学……多彩な視座から未来を見通し、「未完」のその先の姿を考える、知的興奮に満ちた1冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
173
いろいろ参考になったが、もう少しそれぞれ深堀してほしかった。著名経済学者たちに同じ質問をして資本主義とはなにか、掘り下げた。テクノロジーは人類を幸せにする、はだいたい共通。日本の経済衰退は人口減少が原因。ベーシックインカムは賛否両論分かれてしまった。質問同士の関連が良く判らず、どういうスタンスで取材したのか良く判らなかった。資本主義というのは刻々と変化し続ける途上にあり、一つの形態にとどまってはいなかった。2021/04/10
absinthe
99
【再読】フリードマンの『フラット化する…』やグレーバーの『万物の黎明』を読んで、再読して見たくなった。資本主義の将来を知識人が語る。資本主義は長い間に形を変えつつあり、特定の形態を差すわけではない。スマホのように均質化しすぎたサービスでは、貧乏人とビルゲイツの間にも差がなくなっている。『万物の…』を読んでる間にも思っていたが、グレーバーってかなり極端なアナーキストだったのね…。 2024/06/21
kubottar
24
識者たちの色々な資本主義論。私としてはBullshit Jobs(どうでもいい仕事)が増えすぎたという話が好き。資本主義は大きくなればなるほど、難しい役職(これがBullshit)が増えて、いらない仕事が増えていく。しかし、これはもうどうしようもない。なぜなら複雑化させていくことが資本主義の成長だから。2019/12/24
tetsu
20
★4 ノーベル賞経済学者、ジャーナリスト、大学教授など7人が、資本主義をキーワードに未来を考察する。 テクノロジーのすさまじい発展が、労働のあり方や経済の仕組みを大きく変えつつある。 未来は一つなのに7人7様の未来予想を比較できるのは知的興奮を掻き立てる。2019/12/30
おおた
17
7人のインタビューを新書1冊に収めているのだから込み入った話はない。その分、難しいはずの理論が分かりやすく語られているので、漠然とした未来への一歩目として適している。中国やロシアの経済が順調で、EUや日本が低成長に落ち込んでいるので資本主義は批判されがちというところからスタート。しかし資本主義はこれからということで、経済よりも社会の改善を主眼にすることが我々の目指すべき目標とする。理想論を理想で終わらせるのではなく、実現可能な前提で考えていける時代になっているのだ。2020/03/06