内容説明
人のさがをのぞきこんだような、美しくもおそろしい短編をあつめた作品集。「鶴の家」「野の果ての国」など、10編とエッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
43
読友さんの「銀のくじゃく」の感想を読んで。安房直子コレクション第6巻に所収。まさに、世界の果てまで連れていかれたようなお話。くじゃくが腕ききのはたおりの男に仕事を依頼するが、裏事情が・・・。「奥さまの耳飾り」も奇想天外な話の展開に驚いた。そして、巻末のエッセイ2編がまた素敵だった。北見葉胡さんの絵も。2020/09/02
うめ
16
子ども向けとは思えないほど、美しくこわいお話ばかり。七つまでは神のうち。小さい子らや、あまりに純粋すぎる人々は、異界に容易く誘われてしまうのかしら。2015/05/13
おはなし会 芽ぶっく
10
『さんしょっ子』 https://bookmeter.com/books/16101166 を始め安房直子さんの絵本を読むことが多く、しっかりと文章を味わいたいと思い見つけたシリーズ。10編の短編とエッセイ。『 鶴の家 / 日暮れの海の物語 / 長い灰色のスカート / 木の葉の魚 / 奥さまの耳飾り / 野の音 / 青い糸 / 火影の夢 / 野の果ての国 / 銀のくじゃく / 以下エッセイ シャガールの絵の中の鳥 / 言葉と私 』2020/09/06
ゆり
8
美しくてもの悲しい短編集。確かにシャガールの絵は作者さんのイメージにどこか重なる。『奥さまの耳飾り』という一編のタイトルがずっと気になっていました。ロマンティックでふんわり甘く優しいのに切ないラスト。『鶴の家』のひいおばあちゃんと春子ちゃんが好き。『日暮れの海の物語』のさえちゃんといとおばあさんも。空を飛ぶ鳥への憧れも少女の頃のささやかな葛藤も読んでいるうちに懐かしくなってきてたまらなくなりました。2019/08/11
R子
8
美しくも悲しくて恐ろしい10編。「鶴の家」のお皿の秘密、「日暮れの海の物語」の切り裂かれる花嫁衣装、「長い灰色のスカート」の娘と父親の食い違う言い分、「木の葉の魚」のラストシーン、「奥様の耳飾り」の少女の後悔、「野の音」のボタンの穴かがり、「青い糸」に魅入られる少女と青年、「火影の夢」の夢と現実の曖昧さ、「野の果ての国」の疾走する少女、「銀のくじゃく」のはたおり職人のアイディアがそれぞれ印象に残った。2013/04/05