内容説明
2045年、シンギュラリティ(技術的特異点)が訪れ、AIが人間よりも正確で賢明な判断を下せるようになる、という仮説がある。では、「超知性体」となったAIがあやまちを犯し、自動運転者が暴走したり、監視カメラ等が集めたデータによって差別的な評価選別が行われたりしたとき、誰が責任をとるのか。そもそも、AIが人間を凌駕するという予測は正しいのか。来るべきAI社会を倫理的側面から徹底的に論じた初めての書。
目次
第一部〈理論編〉情報倫理からAI倫理へ
第一章 AI倫理とは何か
第二章 AIロボットは人格をもつか
第三章 情報圏とAI
第四章 AI倫理のラフスケッチ
第二部〈応用編〉AI倫理の練習問題
第五章 自動運転
第六章 監視選別社会
第七章 AIによる創作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
34
使っている迷惑メールフィルター(popfile10年以上のおつき合い)、学習させ特定ワードの設定もまめに行った事もあり、100件に1件あるかないかの精度だけども、誤動作は決して無くならない。でも間違った責任をとれとか思わないでしょう。意味を把握して動作している訳では無いとわかっているから。/家にはシェルターから来たネコがいて偶に吐くのですが(トイレは教えなくても間違わないのにこちらは場所を選ばない。不思議)その粗相に責任とれとは思わないでしょう。意味がわかっていないのだから。そんなこと考えました。2020/03/14
那由田 忠
21
この本は、これから発展が加速し社会に多大な影響を与えることが確実なAIの実態について明確な展望を与えてくれる。結局、AIは情報理論によってうごかされているわけで、情報というデジタル化された数値を操作しているにすぎない。つまり、現実社会に存在する様々な「意味」を挿入することは不可能。個人が様々な身体的心理的情報=意味を生み出し、無数の個人の相互作用によって社会が膨大な意味を産出している。それをカバーした上で、全体を支配することは不可能ということが納得できた。2020/08/05
izw
12
西垣先生の新刊で、さっそく購入した。第3次AIブームが進む中で、AIロボットが自立型機械と見なされ、道徳的主体、疑似人格として扱い責任を負わせることが可能か、という問題を考えている。西垣先生は、理論的に自立性をもたない他律系であり、生物とは異なり、自らその作動ルールを内部で作り上げているわけではない、という大原則を基にしているので、道徳的な主体とは無縁であり、AIに自由意志や責任を帰するのは全くの誤りというのが結論。現状はその通りなので、その原則にのっとった倫理体系は非常にすっきりして納得感がある。2019/09/23
ペコー
10
読了。psycho-passというAIがテーマのアニメのアニメを見て、AIについてもっと知りたいと思って借りた本。この本では、AIに責任はとれるのかといったことがテーマになっている。AIが今後果たすべき役割とは何なのか考えさせられる本だった。2023/06/15
tolucky1962
10
理系的文調で易しく整理。功利/自由平等/自由至上/共同体主義を挙げ検討。AIに人格を感じる錯覚をチューリング試験から考察。氏の基礎情報学で生命が自律系でAIは他律系機械とする。AI過信は学習者に従い格差広がる。後半は①自動運転②監視選別社会③AIによる創作。①鍵は責任能力。企業が自社利益を超え倫理規範を定めらるか。②就活でのAI利用等を例に挙げる。正しいばかりでない評価が強化。③AI芸術も可能だが人の創作こそ芸術。芸術を殺すか革新するか。コンピュータ開発者・情報論から哲学を語る著者こそ描ける世界観。2019/11/14