内容説明
湯原直子がある邸から持ち帰った稀覯本(きこうぼん)は、直子の勤める古書店の客・磯部の蔵書から消えた品だった。驚いた直子がその邸を再訪すると、もぬけの殻。住人も家具も花壇もすべて、1日だけのトリックだった。誰が、何のために? 1冊の古書の謎が、やがて過去の惨劇を明るみに出す。練達の筆で描く出色サスペンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
背番号10@せばてん。
23
1994年8月4日読了。あらすじは忘却の彼方。1994/08/04
たーくん
6
再読→→→湯原直子がある邸から持ち帰った稀覯本は、直子の勤める古書店の客磯部の蔵書から消えた品だった。驚いた直子がその邸を再訪するともぬけの殻。住人も家具も花壇もすべて一日だけのトリックだった。誰が、何のために。一冊の古書の謎がやがて過去の惨劇を明るみに出す。練達の筆で描く出色サスペンス。2019/02/06
Tetchy
4
シミタツでは珍しく女性を主人公にして作品。しかも古書店に勤める女性という地味な主人公で、しかも稀覯本を巡る話。およそシミタツには似つかわしくない題材と人物設定で、物語も流されるままに流れていく。題名は主人公の女性を例えた言葉なのだが、あまり印象的に使われている風でもない。この頃のシミタツはちょっと作品に迷いを感じるのだが、特にこの作品は作者の目指す方向性が見えない当時の状況が露呈しているような内容だ。2009/10/13
sasha
3
1冊の稀覯本から始まる物語は、女性主人公を軸に展開し、話が進むうちに過去の出来事の真相が次々と浮かび上がって来る。結末を読み終えても誰も憎むことが出来ない。登場人物それぞれが背負った悲しみの余韻が残る。著者にしては珍しい女性主人公だが、これはこれでいいのかも。少々物足りない気もするけどね。2014/03/19
y_e_d
2
預かった希少本は、出入りの客宅からの盗難品だった――これをきっかけにして古書店店員の主人公・直子が恋人の殺人犯・唯夫に近づき徐々に追い詰め、海に沈めるまでを描く。著者はあとがきであまり出来の良い作品ではないとほのめかしているが、そう悪くは無いと思う。しかし唯夫が恋人の殺人犯であることの種明かしが後半ギリギリすぎるなぁ・・・。それよりも、冷たい関係から殺された父と兄、それを黙っている母という、唯夫の歪んだ家族関係のほうが印象が強い。伏線の仕掛け方にちょっとバラバラ感を感じるけど淡々とした作風は良いですね。2017/08/20




