内容説明
付言しておきたいのは、信長の最大のライバルは、……やはり大坂本願寺であるということだ。そして、その本願寺の軍事力を支えたのが雑賀衆であり、その頭目が「雑賀孫市」だった。(解説/和田裕弘。中公新書『織田信長の家臣団』『信長公記』著者)
ときは戦国、織田・浅井・三好ら大大名がしのぎを削るただ中に、紀州・雑賀庄はあった。彼らに転機をもたらしたのは、八咫鴉を祀る夜に蹌踉と現れたひとりの老人。刀月斎を名のる男は、頭領〈雑賀孫市〉を父にもつ三兄弟それぞれに、奇妙な形をした鉄炮を与えたのであった……。
病身を抱えながら鉄炮兵法を編み出す長男・義方、豪放磊落にして武威赫々たる次男・重秀、入神の域に達した狙撃の腕を持ちながら心を閉ざす三男・重朝。兄弟で〈雑賀孫市〉を襲名した彼らは、異なる道を歩み、異なる志を秘めながら戦乱の世を駆け抜ける!
いま最も勢いに乗る歴史作家・谷津矢車が放つ硝煙たなびく合戦絵巻!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
maito/まいと
19
戦国時代、鉄砲のプロとして信長を恐れさせた雑賀孫市(孫一という表記もみる)実在する人物ではあるのだけど、実態はよくわかっていない、というところを突いて、“雑賀孫市”を名乗る者は3人存在した、という谷津さんの創意が光る一作。雑賀という特異性をみせるところからスタートする本作は、馴染みづらい要素やはしょるところ、深めるシーンのチョイスにうーん、ってなってしまうところがある。その反面、キャラクター設定や鉄砲性能への遊び心など、ライトノベルチツクな中二病要素(笑)が満載で、歴史小説初心者でも入りやすい一作。2020/03/16
nishiyan
9
雑賀孫市の異名を持ち織田信長を苦しめた鈴木佐大夫と義方、重秀、重朝の三兄弟を描いた歴史小説。鉄砲と阿弥陀信仰が持ち込まれたことで、戦乱に巻き込まれていく雑賀の命運に加えて、この三兄弟の確執、土橋平次の息女さやを絡ませたことから、恋物語のような風情を漂わせている。さやの退場が殊の外、早く感じたものの最後まで彼女の影が付きまとう。私は「終」はなくてもよかった気がする。序盤で重朝が八咫烏を撃ち殺した意味など作中で匂わす箇所があるだけに、少しの想像と読後の余韻を楽しみたいのになと思った。2019/09/18
白いワンコ
7
秀吉周りの、多彩な傑物を活き活きと描くことに定評ある作者。今作は他の作品にも登場した鉄砲の名手、雑賀孫市の親子、三兄弟物語である。三兄弟であるが故、他の作品で活躍する「孫市」は果たして誰?という推理が楽しい。連作のキーパーソン、藤堂与右衛門高虎の活躍も嬉しく、いつか与右衛門自身の物語を、築城の術と絡めて読みたいものです2019/08/31
Book・CaFe
6
雑賀鉄砲隊が気になっていたので購入。1970年頃の戦国時代、織田信長〜石山本願寺〜本能寺〜豊臣秀吉の時代。紀州•雑賀の鉄砲傭兵部隊の雑賀衆。 織田信長軍と攻防戦を繰り広げるほどの精鋭部隊。雑賀庄を守るための因縁と鉄砲がもたらされたことにより雑賀衆の運命が大きく変わっていく… 雑賀衆随一の鉄砲の使い手、重朝の神がかり的な鉄砲戦法がカッコよすぎる。 強者揃いのアクションエンターテイメントさながらの描写で引き込まれた。 谷津矢車さんの出身学部【文学部歴史学科考古学専攻】が魅力的すぎる。学びに行きたい… 2022/11/11
陽ちゃん
5
読み始めて「苦手かも」と思ったのですが、気づいたら読了していました。雑賀庄の小領主の一族である父佐大夫と三人の息子たち義方・重秀・重朝がそれぞれ戦いの場で“雑賀の孫市”を名乗ったことによって『雑賀孫市』が出来上がったという設定は意外でした。長兄義方への復讐のために次兄重秀を殺した重朝が二人の兄の死後、どう生きたのでしょうね。2020/03/01
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