「戦後再発見」双書8 9条入門

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「戦後再発見」双書8 9条入門

  • 著者名:加藤典洋【著】
  • 価格 ¥1,650(本体¥1,500)
  • 創元社(2019/08発売)
  • ポイント 15pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784422300580

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内容説明

戦後日本の象徴として、多くの日本人から熱烈に支持されてきた憲法9条。だがそれを支持するリベラル派も、批判する右派も、自分に都合の悪い歴史にはずっと目をつぶり続けてきた。

多くの異説や混乱が存在するなか、あらゆる政治的立場を離れ、ただ事実だけを見据えて描き出した、憲法9条の誕生と、「マッカーサー」「昭和天皇」「日米安保」との相克をめぐる成立初期の物語。30年来の構想を書ききった著者渾身の一作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

44
第1部では①戦争放棄の9条と象徴天皇の1条は共に昭和天皇を護るためにつくられた。②戦後、昭和天皇の道義的責任が浮上し、払拭するために昭和天皇が「責任は自分にある」から「全責任は自分にある」という発言が捏造される。③見合う形で9条は「ただの戦争放棄」ではなく、軍事力を一切持たない日本だけが世界に先駆けて実行する「特別の戦争放棄」となる。④9条はマッカーサーが占領統治を円滑に行い、自ら米大統領選に出馬するための崇高なイメージ戦略のためだった、ということが詳細に論じられる。第2部はマッカーサーの失脚と国際情勢か2023/05/09

Kazehikanai

16
9条誕生の舞台裏をその前夜、終戦直後からの危うい駆け引きから振り返る。現在の迷走は当時の絡み合った思惑が残した遺恨。無垢な平和論と、踊らされる民衆と、現実的な判断と、個人の野望や感慨と。今こそ、原点に帰って考える必要がある。憶測もあり、著者の思いも当然入っていて、どこまでが本当の事実かはわからないが、出生の秘密を知って、改めて考えると、違った意見を持つことになることもあるかもしれない。考える良い機会になった。問題は、で、どうするかだ。2019/10/27

林克也

9
加藤さんが5月にお亡くなりになって以来、何度も読み返してきた。9条の成立過程において、昭和天皇、マッカーサー等々の思惑、成立後の色々な人たちの解釈や利用方法など、たいへん勉強になり考えさせられる本だった。今まで日本は、政治家を含め、9条があることによって行動や言動を“規制”され、また、してきたわけであるが、本日、ヤツらが閣議決定で海上自衛隊の中東派遣を決めてしまった。ということは、もう9条があるとか無いとかは意味を成さなくなってしまった。加藤さんはなにを思うか。2019/12/27

Hiroki Nishizumi

9
非常に興味深く読め、また感銘も受けた。確かに憲法9条を有難って神聖視するのは問題だ。冷静に考えなければならない。天皇の全責任発言や、戦争放棄を巡る経緯、さらに敗戦時に最優先されたのは国体の護持であったことがよく理解出来た。今の日本社会の問題のかなりの部分の起点がここにある気がしてならない。2019/11/28

sansirou

7
多くの資料をもとに、難解な言葉を使わず、丁寧に憲法制定について検証している。護憲論や改憲論に感情的に流れることなく、マッカーサー、昭和天皇、幣原喜重郎、宮沢俊義、美濃部辰吉らのふるまい、思考を追っている。憲法9条の議論をするときに、大きな手助けとなる。2023/12/03

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