内容説明
「文章」の書き方は、自分の好きな「文章」が教えてくれる。明治生まれの貧しい農民やスティーブ・ジョブズのプレゼンから学ぶのは「伝える」ということ。文庫化に際して、NHKテレビ放送を基にした「学生たちが憲法前文を書く」を追加。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
61
一読したが、感想が書けない。掲載されている例文が強烈すぎて言葉にならないのだ。時間を取って熟読する必要がありそうである。2019/04/06
ゆきらぱ
31
始まりにひいてある、ある女性の文章の美しさに心が騒いだ。明治時代の農家の婦人が働くことができなくなったのを嘆き、今まで書けなかった文字を学んだ。それは遺書を書くためであった。生涯唯一の文章で魂がこもっていた。それからこの本の中盤に載っているまだ記憶に新しい池袋の餓死した女性の日記、これも天に向かって書いているような神々しさがあった。前に荒川洋治の「日記をつける」でも読んだイタリアの13歳の働く少年の文章も胸を打つ。こうしてみると文のうまさって何なのだろう。素人の文章でも心に響くのだから玄人の文章とは何か。2019/05/15
ちぇけら
27
「文章」の教室にいるはずなのに、ぼくは泣いてしまった。本書が「文章」への愛にあふれているのは言うまでもない。くわえて、ここには「教室」で感じてきたある種の疎外感がまったくないのだ。まるでぼくだけのため書かれた「文章」に抱きしめられたかのような錯覚におちいる。語る「べき」ことばと、語られる「べき」ことばだけがここにある。だからこの本を、いますぐすべてのひとにすすめたい。そしてこの「文章」にたいする熱いことばたちを「ケッ」と感じるひととは、ほんの少しだけ距離をとりたい。そう感じるような「文章」がここにはある。2019/11/08
ポテチ
24
初見は、文章がすり抜けていく。どの例文も意識した文章と真逆にあるもの。3章の内容が興味深かったです。文章の概念を根本から覆してくれる。間違いだらけの文章も間違いを好む生き方も楽しいのかもしれない。2019/11/13
田氏
19
「間違い」ってなんだろうか。目的を達成できていないこと、と言いかえることはできるかもしれない。しかしそう考えると、どうもこの文章教室には「間違い」がひとつもないように見える。ではこの本は何をしているのだ、というと、むしろその文章によってすでに達成されている「目的」のほうを見つけるトレーニングなのです。それってつまり、読書のことなんじゃないか。読むのは「書」でなくてもいいけど、とにかく読むことそのものだ。だから、これはむしろ読書教室なのだと思う。それは「文章教室」としては「間違って」いるのかもしれないけど。2020/09/28