内容説明
第1回は参加者の8割がギリシャ人、「金メダル」は銀製だった。第2回で女性初参加、第5回で金栗四三ら日本人初出場。政治や時代を背景に無数のドラマが生まれた舞台を、ドーピング、ジェンダーなどにも触れつつ描く。全日本人入賞者データ付き。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
6
1896年のアテネ大会から2016年のリオデジャネイロ大会まで夏季五輪を総覧。各大会の名選手や豆知識の紹介にとどまらず、歴史的背景、政治性・政治利用をめぐるIOC・国家・選手間のせめぎあい、プロとアマの間、商業性や経済利用の問題、そしてレガシーなどの新しい動向をちゃんと押さえたオリンピック論となっている。私の見た限りパラリンピックに関する言及がないのが唯一の不満。2019/08/25
ホンドテン
0
図書館で。当然というべきか大会開始当初からクーベルタンの理想は現実の壁にぶち当って運営は悪戦苦闘な実態(第一次大戦やナチス以前に立ち塞がった米体協のJサリバンとか)が淡々とした文章で語られる。佐山(2017)と比べると金栗らの業績も突き放されて素っ気ない、一方で人見やバロン西の記述に新知見。また冒頭から語られる円谷から瀨古まで日本男子マラソンの苦闘を始めて一貫した文章で知った。対する女子マラソンの躍進、やっぱり先に物故した小出という人は凄かったのか。練習拠点ボウルダーの挿話も面白い。五輪理解必須の一書。2020/05/09