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内容説明
もはや勝利への望みはついえた太平洋戦争の幕をいかに引くか。それこそが、昭和天皇から、首相・鈴木貫太郎に託された、最大の任務であった。日清戦争当時から、“鬼の水雷艇長”として名を馳せたが、「軍人は政治に関与すべきではない」との固い信条から、決して、政界の表に立とうとしなかった“生粋の海軍軍人”は、天皇の口から「頼む」といわれ、ついに、この難局に立ち向かうことを決意する。しかし、特に陸軍においては、この時に至っても、“本土決戦、一億玉砕”の意気強く、天皇――鈴木ラインの“早期終戦”とは、全く相容れない情況であった。そこで、鈴木貫太郎は、本心をおしかくし、決戦派に迎合するように見せながら、海外の情勢をも見定め、自らの任務遂行に向けて、着々と手を打って行く。そして、ポツダム宣言の発表……ここに貫太郎は細心の注意を払いつつ、勝負をかけた行動に出た……。天皇と日本への至誠を貫いた男の生涯を描く長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
陸
2
よく知らない戦前戦後の時代を、一人の海軍軍人に焦点を当てて。海軍兵士から大将、天皇の侍従長、総理大臣と波乱万丈の人生を歩んできた人だけど、その根っこは正統な海軍軍人としか言えない勤勉さや誠実さを持った凄い人だった。2010/08/21
maito/まいと
1
日本の戦争を終わらせた総理大臣、鬼貫こと鈴木貫太郎の生涯を描いた歴史小説。日露戦争における活躍から、国内テロを奇跡的に生き延びた強運ぶり、そして戦争を終わらせるための必死の駆け引きなど、とにかく出来事に事欠かない豪傑。総理に就任してから降伏までの内部のやり取りは、読み手にも伝わるほどの緊迫感で迫力すら感じた。こういう方が一人でも日本の政治家にいれば・・・と思わずにいられない。2011/07/25
諏訪菜子
0
暴れ馬に蹴られたり、流れの激しい海に水門から落ちたり、夜間航行中の軍艦から落っこったり、二二六事件の際銃弾を4発ぐらい打ち込まれたりしながらも何故か奇跡的に助かってきた、天が日本国の歴史のために与えた恩寵のような男、それが終戦時の総理大臣鈴木貫太郎。歴史小説としては出来は「?」だけど、評伝として見ると、読みやすい作品だった。2015/08/04
kayoshi
0
★★★★・ 2005/06/17