内容説明
軽音部室で殺された女の子、ミズ。それから五年、抜け殻のような日々を過ごしていた僕の前に、彼女は突然現れた。「同窓会を開きなよ」高校生の姿のまま、僕にしか見えない彼女に振り回されて、あの日から止まったままの時間が再び動き始める。痛みも後悔も乗り越えて、燦(きら)めく彼女の笑顔の側で、僕はその死の真相に辿り着く。大人になりきれないすべての人に贈る、恋と青春の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
62
高校の三年間が、いかに凝縮された青春時代なのかが痛いほど伝わってくる。まさに「痛い」のだけれど、私もこの頃はカタチが違えどこんな感じに痛かったのだなとしばし思いを馳せた。2019/08/13
ツバサ
16
高校時代にやり残したことを大人になって向き合っていくのは大変だが、それが出来たら人生変わりそうですね。ミステリーとも取れるが、青春を終わらせるための青春って感じで登場人物と共に感傷に浸れました。2020/12/03
東京湾
12
「綺麗だからこそ何もかもを閉じたくなる。完璧な世界を記憶したまま死にたくなる」大人になりきれず、抜け殻のように日々を送っていた僕の前に、彼女は突然現れた。川口未珠奈。高校時代の親友。部室で殺された少女。鳴り響く音楽と共に曖昧な過去へ決着をつける、奇妙でありながらも痛切な青春小説だった。死をはじめて思う、それを青春と言うーそんな言葉を思い起こす。死への衝動に囚われた少女、少女の死に囚われた遺された者。取り返しのつかない過去へ別れを告げ、再び人生を歩み始めるための、痛々しくも美しい"青春の死体"の物語だ。2019/08/14
りこ
11
彼女はなぜ死んだのか? 密室殺人事件の謎解きのその先にある、どうしようもなく割り切れない何かがひたすらに素敵な、次世代の青春ミステリ。この夜景の中、一つひとつの光の中に人の営みがあるなんて信じられない。ミズと同じことを、いつか思った覚えがある。だから彼女の気持ちは理解できた。信じないと生きづらいけれど、疑う姿勢は忘れたくない。バンドものとしても非常におもしろく、ライブシーンでは胸が高鳴った。淡々とした語りの中に、井波の劇場が見え隠れする文体が好きだ。独特な手触りの比喩もよい。最後の最後まで洗練された一冊。2019/09/04
yamakujira
6
23歳の井波は、高校時代の同級生、川口未珠奈と再開して同棲をはじめた。ミズこと未珠奈は高3の学園祭中に部室で殺され、密室殺人の捜査は迷宮入り、だから現れたミズは井波にしか認識できない幽霊だった。死ぬ前の記憶だけを失っているミズとともに、事件を引きずり続ける井波や同級生たちは、あらためて事件の真相を追う。犯人を探すミステリを借りて、大人になるために青春を清算しなおす物語は、切ない恋物語だと思いながらも、マニアックな音楽ネタがしつこくて辟易する。音楽が好きならば逆に魅力なのだろうけれどね。 (★★★☆☆)2020/08/01
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