内容説明
新作が書けぬ小説家・下村に届いた旧友春男の近況。長く疎遠だった春男は、三十を過ぎうつ病を発症したという。青春の華やぎを一切拒絶して引きこもる息子を案じ、両親の相談を受けた下村は、筆の進まぬ窮状を脱する好機と、ある不穏な「実験」を思いつくが……。潮風と砂が吹きつける海峡の町で、孤独且つ平和という泥濘であがく人々の精神の危機を冷徹にえぐる表題作ほか2篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
51
『実験』には3つの短編が収録されています。「実験」は書けなくなった作家が、子供の頃の友達の苦しみを小説の題材にしようとする話です。地方の閉塞感が表現されています。「汽笛」は自殺者たちの物語。暗くて救いのない内容です。「週末の葬儀」には離婚して、一人で暮らす男が出てきます。一見現実的な物語に見えますが、徐々に幻想的な物語になります。ざらついた砂が町を覆ったり、ヘリコプターの音が続けて聞こえるといった不穏な雰囲気が印象的。3編とも救いのない重たい話で、今の日本の現実を反映した作品になっています。2026/05/06
ω
51
芥川受賞前の作品ω 「共喰い」のような激しさは少なく、万人に面白いとは受け入れられないとは思うけれど、表題作は引きこもりの旧友を利用して小説のネタを得ようとする面白い構成。 「週末の葬儀」の不穏さ。おっさんがひたすら自分の存在の揺らぎをブツブツ言ってる感じは、なかなか読ませられた( ^ω^ ) 2023/03/16
優希
44
再読です。重くて人の精神的な危機を深く抉っている怖さを感じます。孤独と平穏の狭間で溺れる人の姿が重なりました。静かな精神の戦いの物語と言えますね。2024/07/29
i-miya
43
2013.04.13(つづき)田中慎弥著。 2013.04.11 僕はね、ハックスベリー・フィンの冒険、小さい本買って全部読んだよ。 はなを押さえながら自分が殴らないと。 私、前の名は出さなかったのだ。 地図で示された下北半島が、元犯人である歯を前のほうから失い、今回は生まれて初めてのカンニングで、テスト中断のきっかけにはなりはしないかという周りの期待。 どの部分をカンニングしようとしたのだ、と聞かれ、右が下北半島で左が津軽だ。 2013/04/13
i-miya
36
2013.04.21(つづき)田中慎弥著。 2013.04.20 ◎汽笛。 何か考え事しながら、船に乗るために港を目指して歩いていたが、私の視線に、視界に鮮やかな色の○○が飛び込んできた、 選挙ポスター、今日投票。 考え事に戻ろうとしたが、考え事をどこかに落っことしたのだろうか、と見回した。 いつごろだろう、考え事を探すのをやめ、今度は時間を探してみるが、無駄だった。 意外と落ちていない。 家に戻ろうとしたが、甘い匂い、が入り込む。 2013/04/21
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