ナチス 破壊の経済 下――1923-1945

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ナチス 破壊の経済 下――1923-1945

  • ISBN:9784622088134

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内容説明

ナチスの経済政策が、いかに付け焼き刃に過ぎなかったかを圧倒的データで描ききった決定版、ついに邦訳。「大傑作」(ファーガソン)。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

16
下巻はユダヤ人や敵国、敵対する人々への政策も含めた経済について。なぜあんな無茶苦茶な経済政策と再軍備を推し進めたかという問いに対する「アメリカの世界支配に対する欧州の最後の悪あがき」という身も蓋もない答え。不足する外貨、資源、労働力は国内で統制計画を実施し、国外から奪いつくす。ユダヤ人は国外移住には多額の税を取られ、できなければ殺される。上下巻通してナチスの通俗的な説をひたすらデータだして実証的に否定していくだけなので、もう少し他の本も読もうとは思ってる。800ぺージ近い大作。訳者の方もお疲れさまでした。2021/07/07

ジュン

12
上巻では経済復興やアウトバーン神話などを資料から徹底的に批判し、その場当たり的な性格を明らかにしてきたが、下巻ではそこに人種戦争とジェノサイドが加わる。原題のThe Wages of Destructionには複数の意味が込められていることがわかる。この点、複数形がある英語は面白い。「経済」と訳されたwageは本来、賃金や(労働に対する)報酬という意味があるが、複数形にすることでより広く本書の主題をカバーしている。破壊の経済「たち」。日本語にはなりえない表現だ。いずれにせよナチス研究における定本となる。2020/08/18

MUNEKAZ

11
後編はいよいよ戦時経済へ。西で英米と覇権を争い、東で「生存圏」確保のためソ連と戦う。そして占領地の労働力を収奪しながら、同時にホロコーストに邁進する。この向こう見ずでちぐはぐな対応の裏に流れる、ヒトラーなりの(狂気の)合理性が経済を通して語られる。読みどころは軍備の奇跡を成し遂げたと言われるシュペーアの虚像を暴いたところか。もちろん有能なのだけれど、上司の威光と自己宣伝でそれを何倍にも膨れ上がらせる人は身の回りにもいるかも。とにかく戦争の非情な計算と、狂信的の人種論の悪魔合体を見せつけられる大著でした。2019/08/21

ゲオルギオ・ハーン

6
戦争に国力のほとんどを注ぎ込んだナチスドイツの根本にはアメリカへの対抗戦略であるドイツの生存圏確保という思想があった。そのために軍備偏重の統制経済と捕虜、外国人、ユダヤ人を餓死させながら効率的に働かせて、生産性を高めた。ソ連に苦戦しても負けじと戦争遂行のために効率化を進めた。シュペーアの「奇跡」は数字のマジックだが、ナチスの生産性が一時的にでもソ連や英国を上回ったのは事実。台頭する米ソに対する欧州の動きという視点で考えると第二次大戦についての捉え方を再考しなければいけないかなと思いました。2020/03/09

tsuyoshi1_48

3
フランス戦から敗戦まで。 ソ連との地獄の消耗戦に引き摺り込まれ、限りある資源(鉄や化石燃料、食糧のみならず、人命までも)を戦略的合目的性において最大限に統制し、活用しようとするナチス政府の苦闘が、膨大なデータで述べられます。 超大国アメリカの存在を前に、ドイツは(そして我が国も)生存圏を巡る乾坤一擲の勝負に出ざるを得ず、その結果かかる悲劇を招いたわけで、経済格差は戦争に繋がるひとつの大きな要因であると改めて。 実に読み応えありました。2020/01/21

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